2016 Fiscal Year Research-status Report
バクテリア巨大化細胞への異種ゲノムDNAの導入方法の確立
Project/Area Number |
16K14891
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
西田 洋巳 富山県立大学, 工学部, 教授 (60301115)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | Lelliottia amnigena / スフェロプラスト / マイクロマニピュレーション操作 / 内膜 / 外膜 / DNA複製 / 長鎖DNA導入 / マリン培地 |
Outline of Annual Research Achievements |
腸内細菌科に属するLelliottia amnigenaをリゾチーム処理してスフェロプラストを作成し、そのスフェロプラストをペニシリン存在下でマリン培地で培養し、細胞を分裂させることなく、巨大化させた。その細胞サイズは、最大で内膜直径15マイクロメートル、外膜直径36マイクロメートルまでに達し、マイクロマニピュレーション操作可能な大きさとなった。この巨大化スフェロプラストは内膜と外膜が乖離しており、巨大なペリプラズム空間を有する。この内膜と外膜の乖離は大腸菌では顕著に見られず、L. aminigenaの特徴といえる。スフェロプラスト培養24時間ごろより、乖離が生じ始め、48時間でサイズはほぼ最大となる。その後、72時間、96時間と時間を経ることによって、細胞崩壊する巨大化スフェロプラストの数が増加することを顕微鏡によって観察した。マイクロマニピュレーターを用いて細胞を単離し、一細胞内のクロモソームDNAの量を定量したところ、24時間まではDNA複製が生じているにもかかわらず、それ以降は、複製を停止していることが明らかとなった。また、スフェロプラストをペニシリンを含まない寒天マリン培地に撒いたところ、48時間を過ぎるとコロニー形成できないことがわかった。ただ、巨大化細胞においても遺伝子発現は行われており、通常の2分裂する細胞、ペニシリン非存在のマリン培地で線維化させた細胞、スフェロプラスト作成直後の細胞と巨大化細胞の遺伝子発現を網羅的に比較したところ、それぞれの細胞において大きく異なっていることを明らかにした。以上のことより、本研究目的である巨大化細胞に外来性長鎖DNAを導入するための基礎的データを得たと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
巨大化細胞をコンスタントに作成できるようになった。また、培養時間によって、細胞の性状が異なることを明らかにしたことによって、どの段階の細胞にマイクロインジェクションすると効率的であるかの判断ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
Lelliottia amnigenaのスフェロプラストを24時間で15から30マイクロメートル直径までに巨大化させ、その細胞に外来性長鎖DNAをマイクロインジェクションさせる。その細胞を脱巨大化させ、外来DNAを保有した通常2分裂細胞を作成する。
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Causes of Carryover |
当初、マイクロマニピュレーターの購入を初年度に予定していたが、実際に認められた金額では購入できず、次年度に合算して購入することとしたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
4月になって早々にマイクロマニピュレーターを設置した(4月3日)。これによって、マイクロマニピュレーターが2台となり、巨大化細胞へのアクセスが正確に効率よくできるようになった。
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Research Products
(4 results)