2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K14898
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
田中 俊之 筑波大学, 生命環境系, 教授 (10217052)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 酵素 / タンパク質発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
放線菌由来の抗腫瘍性抗生物質ネオカルチノスタチン(NCS)の活性本体であるクロモフォアの9員環エンジイン骨格の生合成には、12種類の酵素が関与すると考えられている。今年度は、これらの酵素の性質と構造を解析するために、まず、大腸菌を用いた発現系の構築を試みた。培養したNCS産生放線菌Streptomyces carzinostaticusから、ISOPLANTを用いてゲノムDNAを抽出した。このゲノムDNAを用い、各酵素のDNA配列に基づき設計したプライマーを用いてPCRを行った。得られたPCR産物から、TAクローニング法により目的とする酵素12種類をクローニングした。これらを、タンパク質の発現に用いるベクター数種(pETなど)に入れ替え、それぞれ適当な大腸菌数種に導入した後、該当するインダクション法により、酵素タンパク質を誘導発現させた。その結果、可溶化しない、あるいは大腸菌の増殖を阻害するといった性質をもつ数種類の酵素を除き、一定量のタンパク質を発現させることに成功した。今後は、放線菌によるタンパク質発現系などを用いて、大腸菌では発現出来なかった酵素を調製する予定である。 クレペニン酸を産生する植物については、新鮮な植物体からゲノムDNAを抽出するため、種子から育てている。3月初めに、専用培養土を入れた36穴タネまきトレーに各穴3~4粒ずつ播種し、発芽して本葉が2~3枚になった頃に栄養分の高い土を入れた小鉢に植え替えた。現在、順調に生育中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
活性の高い炭素間三重結合を有する化合物を産生する植物や微生物は国外のものが非常に多いが、近年の生物多様性に対する意識の高まりから、それらに関してPIC(Prior Informed Consent)やMAT(Mutual Agreed Term)を取得することが思った以上に困難であり、手に入れることが出来なかった。そのため、当初計画していたそれら植物や微生物からの新奇アセチレナーゼの探索を中止した。また、本研究の開始時期の関係で、クレペニン酸を産生する植物については、新鮮な植物体を得ることが出来ず、種子から栽培する必要が生じたため、当初の予定から遅れが生じてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
環状エンジイン骨格合成酵素と鎖状不飽和脂肪酸(クレペニン酸)アセチレナーゼについては、大量発現系と効率良い精製方法を確立し、構造解析に取りかかる。また、新奇アセチレナーゼの探索については、国内で採取出来る同種あるいは近縁種を対象に検討する予定である。
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Causes of Carryover |
本研究の開始時期の関係で、新鮮な植物体を得ることが出来ず、種子から栽培する必要が生じたため、当初の予定から遅れが生じてしまったから。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
3月初めに播種した植物は、発芽し現在順調に生育しているため、数ヶ月以内にゲノム抽出やクローニング等の実験が可能となり、そのための消耗品類を購入する。また、環状エンジイン骨格合成酵素については、予定通り実験が進んでいるため、大量発現系と効率良い精製方法を確立や構造解析に必要な消耗品や実験器具類を購入する予定である。
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