2017 Fiscal Year Research-status Report
カイコから4種血清型デングウイルスに対応した4価ウイルス様粒子ワクチンの開発
Project/Area Number |
16K14900
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
朴 龍洙 静岡大学, グリーン科学技術研究所, 教授 (90238246)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ウイルス / デング熱 / ウイルス様粒子 / カイコ / バクミド |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はデングウイルス(血清型1~4)の構造タンパク質C-prM-EポリペプチドおよびEタンパク質を、C末端側にタグ配列を付加して発現をカイコ幼虫で行った。 1)血清型1および4の構造タンパク質については、発現系の構築を終え、現在カイコ幼虫で発現を試みている。 2)血清型2のC-prM-EポリペプチドおよびEタンパク質はカイコ脂肪体で主に発現が確認されたが、カイコ体液からも微量ながらも発現が確認された。タグを利用したアフィニティクロマトグラフィーで精製されたC-prM-Eポリペプチドには、プロセッシングされて形成したEタンパク質とC-prMポリペプチドが確認された。精製したC-prM-EポリペプチドおよびEタンパク質のヘパリンへの結合は、ELISAにより確認できた。このことから、C-prM-EポリペプチドおよびEタンパク質は受容体結合能を有すること、またC-prMポリペプチドおよびEタンパク質はウイルス様粒子を形成していることが明らかとなった。 3)血清型3については、C-prMポリペプチドの間に存在するシグナル配列を削除する形でC-prM-EおよびprM-Eポリペプチドをカイコ幼虫で発現させた。共に脂肪体内で発現が確認されたが、体液中には確認できなかった。発現パターンが、タイプ2のC-prM-Eポリペプチドの発現と異なり、共にプロセッシングを受けずにポリペプチドのまま発現していることが確認された。脂肪体から精製し、ELISAによりヘパリンとの結合を確認したところ、結合が確認されなかった。このことから、C-prMポリペプチドの間シグナル配列がC-prM-Eポリペプチドの発現に重要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
デングウイルスは、血清型1~4が存在しており、2年間で血清型1~4の構造タンパク質C-prM-EおよびEタンパク質の発現と精製を目指したが、現在血清型2と3の発現と精製に成功している。しかし、血清型2と3についてもデングウイルス様粒子の確認が取れていない。カイコや昆虫細胞発現系でデングウイルス様粒子の発現報告がなく、唯一哺乳類細胞からの報告のみである。昆虫細胞からは何故デングウイルス様粒子が形成できないかは非常に興味深い結果である。本研究では、発現方法を変えながらデングウイルス様粒子の発現に挑戦している関係で、研究進展が遅れている。平成30年度には、血清型1と4の発現・精製を進めながら、発現済の血清型2と3タンパク質についてインドネイア共同研究者と連携して、抗原として評価を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目で完成した1価デングウイルス(DENV)の構造タンパク質4種類と4種類のエンベロープタンパク質を用い、ワクチンとしての効果を検証する。動物実験は、マウスBALB/c 7週齢の筋肉にワクチン10~20 μgを接種し、2週目、4週目の計3回接種し、免役原性を確認する。ELISAによる抗原特異抗体の測定並びにELISPOTによるサイトカイン、IFN-γ、TNF-α及びIL-10の生成を測定し、DENVに対する防御効果を定量的に評価する。 一方、4価デングウイルス様粒子(DENV VLP)の形成については、カイコにおける発現方法の変更やベクターの作り直しを行い、引き続きDENV VLPの形成を追求する。
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Research Products
(8 results)