2018 Fiscal Year Research-status Report
植物ウイルスの複製機構を利用した新規酵母タンパク質発現系の開発に関する研究
Project/Area Number |
16K14909
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
西宮 佳志 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (00357716)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 発現系 / 酵母 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに構築したメチルトランスフェラーゼ (MT) および MT とヘリカーゼの中間領域にある22個のレアコドンを同義置換したベクターのサブゲノムプロモータ (SGP) 下流に標的タンパク質をコードする配列を挿入した。このベクターで Saccharomyces Cerevisiae (S. Cerevisiae) を形質転換したが,標的タンパク質の発現は確認されなかった。そこで,ベクターをシングルコピー型からマルチコピー型に変更した。外被タンパク質(CP)の SGP の下流にヒスチジン合成酵素をコードする配列を挿入したベクターを構築しヒスチジン要求性 S. Cerevisiae を形質転換したところ,形質転換体はヒスチジン欠損培地で増殖した。一方,移行タンパク質(MP)の SGP の下流にヒスチジン合成酵素を挿入したベクターでは増殖しなかった。MP の SGP の特定の数箇所にランダム変異を導入したライブラリーを構築し,S. Cerevisiae を形質転換したところ,ヒスチジン欠損培地で増殖するクローンが見出された。これらのクローンが保持するベクターの配列を確認したところ,全て同じ変異が導入されていた。次にヒスチジン合成酵素に換え蛍光タンパク質をコードする配列をそれぞれの SGP の下流に導入したベクターを構築した。これらで S. Cerevisiae を形質転換し蛍光強度を測定したが,蛍光は観測されなかった。このことから SGP 下流のタンパク質発現は極めて微量であることが示唆された。また,宿主の改善として 3' poly A 配列の無い mRNA に対して翻訳率の高い ski2 欠損株の構築を行った。しかし,ski2 欠損株による標的タンパク質の発現量向上は確認できなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
前年度に構築した改良型ベクターの評価を行ったが標的タンパク質の発現が確認できなかった。そのため,宿主およびベクターのさらなる改良を試みた。これらのうち,ベクターのマルチコピー化で標的とする外来タンパク質の発現が示唆された。しかし,その発現量は極めて微量と推測された。現在,細胞質スプライシング機構を利用した 3' poly A 除去を試みており,固体培地上では標的タンパク質の発現が示唆されるが液体培地に植えて培養すると発現が確認できない状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
固体培地と液体培地における細胞質スプライシングによる 3' poly A 除去の効果を検証する。また,前年度に取得した ski2 欠損株や S. Cerevisiae deletion clones を宿主として改良型ベクターや細胞質スプライシングによる標的タンパク質の発現を評価する。前年度に行うことができなかったRNAの転写量および in vitro で合成した 3' poly A を持たないRNA の導入による標的タンパク質の発現についても評価を行う。
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Causes of Carryover |
(理由)研究進捗が予定よりも遅れたため、使用予定であった試薬等の購入や成果発表を見合わせたため。 (使用計画)消耗品の購入および学会発表のための旅費に使用する。
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