2016 Fiscal Year Research-status Report
既知イソペンテニル二リン酸異性化酵素ホモログが関与しない生合成経路の解明と利用
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16K14911
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
佐藤 努 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (80334655)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | イソプレノイド / テルペノイド / プレニル鎖伸長酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、60,000種に及ぶイソプレノイド生合成の全てに関わり、イソプレノイド生合成経路の律速段階となっているイソペンテニル二リン酸異性化反応の効率化に挑戦する。具体的には、従来型とは異なる新しいタイプのイソペンテニル二リン酸異性化酵素の同定とその触媒機構の解明から、これまでの壁を打ち破る有効な生物合成系の樹立を目指す。 当該年度では、1種のファルネシル二リン酸合成酵素がイソペンテニル二リン酸のみを基質としてファルネシル二リン酸を合成し、イソペンテニル二リン酸異性化酵素(IDI)活性を持つことが示唆される実験結果について、in vitro試験については再現性を得ることができた。次に、連携研究者の葛山博士らが開発した、IDI活性がないと生育できない大腸菌の系に同遺伝子を導入したが、生育しなかった。つまり、in vivoの系ではIDI活性があることを明確に証明する結果を得ることはできなかった。さらに、アミノ酸配列から予想したIDI活性に関与する残基に部位特異的変異を導入して14Cの基質を用いて生成物を解析したが、野生型と変化が見られず、予想は正しくないことが判明した。 次に、基質アナログが結合したX線結晶構造解析が成されている数種のプレニル鎖伸長酵素をターゲットにクローニング・大腸菌における高発現・酵素精製を行った。酵素反応試験の結果、1種のゲラニルゲラニル二リン酸合成酵素がIDI活性を持つことが判明した。三次元構造の詳細な解析から、IDI活性に寄与する残基を推測するところまで終了した。 また、他の新型IDIの候補のクローニングを現在進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基質アナログが結合したX線結晶構造解析が成されているゲラニルゲラニル二リン酸合成酵素がIDI活性を持つことを見出すことができたことから、今後、飛躍的にIDI活性を触媒する機構の解明が進むことが期待されるため。また、他の新型IDIの候補についても順調に進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
基質アナログが結合したX線結晶構造解析が成されているゲラニルゲラニル二リン酸合成酵素について、三次元構造の詳細な解析から、IDI活性に寄与する残基を推測しており、部位特異的変異を導入して触媒機構を明らかにしていく予定である。また、他の新型IDIの候補についても、クローニング・大腸菌における高発現・酵素精製・酵素反応試験を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
大量の遺伝子クローニングと機能解析実験を予定していたが、来年度に行うことになり、高価な生化学試薬代を来年度に使用するため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
大量の遺伝子クローニングと機能解析実験の生化学試薬に使用する。
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