2016 Fiscal Year Research-status Report
化学修飾によるミトコンドリア複合体-Iの「光駆動型プロトンポンプ」への変換
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16K14914
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三芳 秀人 京都大学, 農学研究科, 教授 (20190829)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 生物制御化学 / ミトコンドリア呼吸鎖 / 光スイッチ |
Outline of Annual Research Achievements |
ウシ心筋ミトコンドリア複合体-Iのキノン結合ポケット内に、光に応答する光スイッチ分子を導入することが本研究の目標である。光スイッチ本体として、光照射でシスートランス異性化するアゾベンゼンを選択した。アゾベンゼンをキノン結合ポケット内に位置選択的に誘導し固定する方法として、トシル化学法を採用することとした。これまでの複合体-Iのトシル化学の実績を踏まえて、トシル化学に用いるリガンド分子としてはアセトゲニンを選択した。 アセトゲニンのアルキル鎖部分にトシル基を導入し、これを介してアゾベンゼン部分を接続させるという分子設計を行った。アゾベンゼンの酵素内におけるシスートランス異性化を迅速化するために、アゾベンゼンの右側末端に電子供与性の3級アミノ基を導入することとした。また、トシル基とアゾベンゼン部分の距離を種々改変できるように、アゾベンゼンの左側末端を設計した。トシル化学を行った後、キノン結合ポケット内に導入したアゾベンゼンの修飾率(置換率)を算出するためには、これを可視化する必要がある。そこで、3級アミノ基の先端にアジド基を導入し、これを足場としてクリックケミストリーで蛍光分子を導入し可視化することを意図した。 このような分子設計に基づいて合成したアセトゲニンプローブを用いて、亜ミトコンドリアを実験材料としてトシル化学を実施した。修飾率を概算したところ、数%と低いことが判明した。この原因は、アゾベンゼン部分の構造が嵩高いためだと推測した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アゾベンゼン部分の嵩高さが、トシル化学に極めて大きな影響を与えることは予想してなかった。今後、アゾベンゼン部分の小型化を検討する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
トシル化学による修飾率を上げるために、アゾベンゼン部分の小型化を検討する必要が出て来たため、アゾベンゼンの3級アミノ基の小型化と、アセトゲニン分子内におけるトシル基+アゾベンゼンの位置を改変する。
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Causes of Carryover |
試験的に試みたアゾベンゼンの結果が、予想以上に好ましくなかったため、リガンド分子の設計を根本的に見直す必要が生じ、計画したよりも消耗品を購入しなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
リガンド分子の設計を見直し、合成研究を進める。
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