2016 Fiscal Year Research-status Report
小分子シグナル化合物による休眠二次代謝遺伝子の一括発現と有用生物活性物質の探索
Project/Area Number |
16K14915
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
荒川 賢治 広島大学, 先端物質科学研究科, 准教授 (80346527)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | シグナル分子 / 二次代謝生合成 / 放線菌 / ゲノムマイニング |
Outline of Annual Research Achievements |
Streptomyces属放線菌の二次代謝は、ごく微量(nMオーダー)の微生物ホルモン様シグナル分子により誘導制御されている。シグナル分子の構造に注目すると、約60%の放線菌がgamma-ブチロラクトン型分子を持つと推測されており、残り40%の分子構造多様性に興味が持たれた。本研究では、申請者が見出した2,3-二置換ブテノライド型シグナル分子SRBに注目し、菌群における多様性解析および生合成機構・構造活性相関、さらには合成酵素と機能の相関性の解明を目指した。平成28年度は以下の項目を実施した。
[課題1]SRB型シグナル分子の多様性解析 約50株の放線菌について醋酸エチル抽出し、SRB合成欠損株KA20株への添加実験を行ったところ、ランカサイジン(LC)およびランカマイシン(LM)の生産回復は認められなかった。本成果は、放線菌におけるSRB型分子の特異性を示唆している。 [課題2]高機能化を指向したSRBの生合成機構解析 P450モノオキシゲナーゼSrrOは、SRB生合成におけるC-6'メチレン基の酸化反応を司っていることが明らかになった。また、C-1'の水酸基の立体化学に関しては、R体、S体ともにC-6'メチレン酸化反応が同程度の反応効率で進行しており、SrrOの基質認識は比較的寛容であることが分かった。また、リダクターゼSrrG,およびホスファターゼSrrPの、SRB生合成への関与も見出すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
[課題1]において、供試菌50株のシグナル分子はSRB分子でないことが見出せた。本成果は、放線菌におけるSRB型分子の特異性を示唆しており、シグナル分子の多様性解析および新規骨格の発見、さらにそれに伴う二次代謝生産誘導系の構築など、多面的な研究展開の可能性を示すことができた。 [課題2]において、反応部位(C-6'位)から離れた官能基の立体化学(C-1'位)は、反応速度に全く影響を及ぼさないことが分かった。また、リダクターゼSrrG,およびホスファターゼSrrPの、SRB生合成への関与が示唆された。シグナル分子生合成は、その生産量が少ないことから、変換メカニズムの詳細な分子基盤はもちろんのこと、誘導体化などの知見もほとんどない。本成果がシグナル分子生合成の基本システムの理解につながることが大いに期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
[課題1]において、供試菌のさらなる解析を進める。具体的には、広島大学保存菌株の80株に注目する。また、Kitasatospora, Amycolatopsisなど稀少放線菌のシグナル分子にも注目する。 [課題2]において、リダクターゼSrrG,およびホスファターゼSrrPの機能解析を目指し、破壊株からのシグナル分子の抽出・単離・構造決定を遂行する。また、[課題3]として「休眠二次代謝遺伝子の発現誘導」も手がける。
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Research Products
(25 results)
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[Journal Article] Antitumor activity of lankacidin antibiotics is due to microtubule stabilization via a paclitaxel-like mechanism2016
Author(s)
Ahmed Taha Ayoub, Rabab Ahmed, Jack Xiao, Cody Wayne Lewis, Tatiana Tilli, Kenji Arakawa, Yosi Nindita, Gordon Chan, Luxin Sun, Mark Glover, Mariusz Klobukowski, Jack Tuszynski
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Journal Title
J. Med. Chem.
Volume: 59
Pages: 9532-9540
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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