2017 Fiscal Year Annual Research Report
Study on sensing mechanism of low-digestible saccharides in nutrient-sensing enteroendocrine cells
Project/Area Number |
16K14918
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
原 博 北海道大学, 農学研究院, 特任教授 (70198894)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
比良 徹 北海道大学, 農学研究院, 講師 (10396301)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 難消化性糖質 / GLP-1 / アルロース |
Outline of Annual Research Achievements |
「自然界にその存在量が少ない単糖とその誘導体」と定義される希少糖の一つであるD-アルロースは、フルクトースの異性体であり、単糖であることから、消化管ではそれ以上の消化は受けない。また、吸収性もグルコースやフルクトースに比べると低く、代謝も受け難い。このD-アルロースを経口投与することで消化管ホルモンGLP-1の分泌が強く誘導されることを見出し、その作用機構について検討した。GLP-1と同じくインスリン分泌促進作用を持つ消化管ホルモンGIPに関しては、D-アルロースによる分泌促進は見られなかったことから、D-アルロースの作用はGLP-1選択的と考えられた。D-グルコースは、逆にGIP分泌を促進し、GLP-1の分泌は促進しなかった。D-アルロースをラットの腹腔内に投与してもGLP-1分泌への影響は見られなかったことから、D-アルロースは腸管腔内で作用することが明らかとなった。また、D-アルロースは、経口投与後、150分まで腸管腔内に残存することが確認され、長時間腸管腔内に存在することで、持続的にGLP-1分泌を促すことが考えられた。D-アルロースによるGLP-1分泌促進は、甘味受容体阻害剤やグルコーストランスポーター阻害剤による影響を受けなかったが、GLUT5阻害剤により抑制された。GLUT5はフルクトースの輸送担体であることから、D-アルロースはフルクトースと同様のトランスポーターを介してGLP-1分泌を促進することが示唆された。以上のように、希少糖D-アルロースは、GIP分泌には影響せずにGLP-1分泌を持続的かつ強力に促進すること、その作用は腸管腔内で発現することが明らかとなった。
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