2017 Fiscal Year Annual Research Report
Induction of diabetes by CRTC1 deficiency
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16K14925
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松村 成暢 京都大学, 農学研究科, 助教 (70467413)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 糖尿病 / 高脂肪食 / 転写因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
世界的に見ても糖尿病患者の増加は著しく、もはや社会問題である。糖尿病の主な発症原因は加齢、肥満、遺伝とされているが、肥満以外の他の因子による糖尿病発症機構はいまだ不明な点が多い。CRTC1はcAMP応答性転写因子であるCREBの共役因子である。CRTC1欠損マウスは高脂肪食により糖尿病を発症することから、CRTC1は糖尿病発症に関わる因子の発現を制御していると考えらえる。 平成28年度までの研究により、CRTC1欠損マウスに高脂肪食を与えると体重の増加は穏やかであるが顕著な糖尿病を発症し、重度の脂肪肝および内臓脂肪の一部に萎縮がみられることが明らかとなっている。そこで脂肪組織および肝臓の遺伝子発現を検討した。CRTC1欠損マウス脂肪組織において、脂肪合成や脂肪細胞の分化増殖に関わる遺伝子の発現低下が見られた。顕著な脂肪肝を発症しているにも関わらず、肝臓において脂肪合成に関与する遺伝子の変化はみられなかった。しかしながら、脂肪肝に深く関連するPPARgamma2の発現上昇および脂肪酸トランスポーターであるCD36の発現増加が観察された。 CRTC1欠損マウスは高脂肪食摂取により脂肪組織に異変がみられ糖尿病を発症する。そこで野生型マウスの正常な脂肪組織を欠損マウスに移植することにより糖尿病の治療を試みた。その結果、脂肪組織の移植によりCRTC1欠損マウスの糖尿病が改善された。 以上の結果よりCRTC1は高脂肪食摂取により活性化され、脂肪組織および肝臓において脂肪合成や脂肪細胞の分化に関わる遺伝子発現を調節していることが明らかとなった。脂肪組織の移植がCRTC1欠損マウスの糖尿病治療に有効であったことから、脂肪細胞の異常こそがCRTC1欠損マウスにみられる糖尿病の原因であり、脂肪細胞の異常を正常化することが糖尿病治療に有効であることが示された。
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