2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K14936
|
Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
松英 恵吾 宇都宮大学, 農学部, 准教授 (20323321)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | スマートフォン / 森林計測 / 測高 / 測樹 / 測量 |
Outline of Annual Research Achievements |
スマートフォンOSにおいてシェアが高いiOS、Androidのクロスプラットフォームベースで森林計測用テスト用アプリの開発を実施した。テスト用アプリでは測高については角度センサの相似比を利用した計測機能、直径および断面積測定については角度センサの相似比による距離測定結果と内蔵カメラによる光学的な幅の計測を利用した計測機能を実装した。その上でiOS、Androidとも携帯通信契約が不要なWi-Fi型の端末数機種をテスト端末とし、アプリをインストールの上、機械的に精度検証が可能な対象(建物、ポール等)に対して計測試行を実施し各種センサでの計測特性の把握を試みた。その結果、高さ計測については一定の条件下においてRMSE5%以下の精度を有することが確認できた。幅測定については誤差無く測定が可能であることが確認された。 一部研究計画を前倒しし、検証用の森林調査(樹木位置図作成、樹高、胸高直径毎木測定)を行い、合わせて試作アプリによる計測を試行した。その結果樹高測定についてRMSE6.8%の精度で計測できた。比較対象とした専用のレーザー測高器が7.3%であったことから一定の実用性を確認できた。一方、断面積測定についてはRMSE40%となった。想定した精度を満たすことができなかったが、比較対象とした専用のレラスコープにおいてもRMSE47%となっており、精度検証における真値の設定について課題を残す結果となった。 今年度の研究成果より、以下の問題点が明らかとなった。1)テスト端末のセンサやカメラの性能差による計測精度の影響、2)計測時の視準および端末の安定性により計測精度に差が生じる、3)カメラアプリ使用時のバッテリの持続性、4)精度検証用データの設定。ただし、それぞれの問題についての解決策についても検討が進んでおり、次年度にアプリの改良・機能追加を実施し対応を進め実用性の向上を図る。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に対し、テスト用アプリの開発、テスト端末による計測試行を予定通り実施し、一部次年度に計画していた森林における実証計測も前倒しして実施することができた。開発予定の機能の内、測量機能の開発が方位センサの精度の問題があり計測に実用するために追加調整が必要であるが、概ね研究計画通り遂行することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究成果より明らかとなった以下の問題点についての対応を示す。 1)テスト端末のセンサやカメラの性能差による計測精度の影響についてはアプリ内にセンサ・カメラキャリブレーション機能を実装し、可変的に計測パラメータを調整できるようにする 2)計測時の視準および端末の安定性により計測精度に差が生じる問題については、視準線の追加や画面内に端末の安定を示す数値(もしくはマーク)を表示し、測定可能であるかどうかを計測者が確認できるようにする。 3)カメラアプリ使用時のバッテリの持続性については追加のモバイルバッテリーの併用を検討し、アプリの画面表示を簡略化したり、低照度であっても視認性がよい画面レイアウトを工夫する。 4)精度検証用データの設定については追加の現地調査を実施する際に、樹高については測定後、対象木を伐倒し樹長を直接計測する。断面積については単木単位の周囲木の樹木間距離とDBHの関係を定量化する方法を採用するなど工夫する。
|
Causes of Carryover |
テスト用端末について導入を想定した機種が世代更新により値下がりし、計画よりも調達費用が安価となったこと、現地調査による調査旅費と調査補助の人件費を計上したが、組織規定により旅費支給の対象外となる対象地であったこと、検証用の調査あったため申請者本人のみによる調査で実施したことにより差分が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度の研究により端末によるセンサ等の性能差が計測精度に影響することが明確となったため、差分の予算により、端末の機種を多様化して追加し、より汎用的なアプリの開発を目指す。
|