2016 Fiscal Year Research-status Report
なぜ多層林は風害に強いのか?葉分布構造の変化履歴と樹木振動工学・風力学の統合
Project/Area Number |
16K14937
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
水永 博己 静岡大学, 農学部, 教授 (20291552)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上村 佳奈 信州大学, 学術研究院農学系, 助教 (40570982)
南光 一樹 国立研究開発法人森林総合研究所, その他部局等, 主任研究員 等 (40588951)
内田 孝紀 九州大学, 応用力学研究所, 准教授 (90325481)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 多層林 / 風害 / 振動 / 林冠構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
気候変動による台風の大型化が懸念される中で、風害に強い森林構造の解明は重要である。欧州では一斉林に比較して多層構造を持つ異齢林は風害を受けにくいことが報告されている。しかし現在の風害力学モデルは複雑な林冠構造の森林に適用できないため多層林が持つ風害抵抗性のメカニズムは謎のままである。本研究では、 1.多層林の発達履歴に関連づけた風や光の露出履歴を考慮した樹形予測手法、2.強風時の樹木の振動現象と破壊プロセスの再現手法、3.葉分布や幹構造が多様な個体の抵抗力を評価手法、4.複雑な林冠構造に対応できる風況予測手法の開発を通じて、多層林を含むt賞な森林に適用できる風害リスク評価モデルの構築に挑戦することを目的とした。 本年度はスロベニアの林分構造の異なる5つの林分において葉の三次元構造を地上レーザスキャン法により測定した。また弾性波の測定により構成する個体の幹の力学的パラメータの空間分布を測定した。葉の三次元構造から森林内の光マップを作成し、生育プロセスとの関係を解析した。この葉分布構造は次年度に実施する森林内の風速マップ予測モデルを構成する重要なパラメータとなる。 ヒノキの幹の力学特性分布および葉分布特性を測定し、このデータから様々な組み合わせのダミー個体を再現し、振動特性を明らかにした。この結果、形状比よりも直径と樹冠のサイズのアロメトリーが個体の破壊に関係が深いことを力学的観点から明らかにした。この傾向は過去の報告と一致した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
樹木の振動モデルと葉構造の統合に成功した。多層林の林冠構造の再現に成功した。データの収集は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
森林経営シナリオごとのモデル森林のアロメトリーの変化と振動特性および破壊抵抗性を評価する 計測された全ての森林の風況を予測し、林分構造と風況の関係を明らかにする 多層林の風害実態の統計的評価を行い、力学モデルとの検証を行う
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Causes of Carryover |
データの取得に応じた多層構造の風況モデルの開発が必要であり、多層林の林冠構造のデータ整理が遅くなったため、風況モデルの改良の一部を次年度に行うことにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
多層林の風害履歴データの収集のための出張に用いる。また風況モデル開発のための計算機器及びソフトの整備に用いる。林冠構造を把握するためのSfmのソフトレンタルを行う
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Research Products
(3 results)