2018 Fiscal Year Research-status Report
サルはどこでマラリア原虫をもらうのか?:飛行型樹上トラップで樹上蚊に迫る
Project/Area Number |
16K14942
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
益田 岳 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 連携助教 (00455916)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | トラップ製作 / マニピュレーション / 媒介蚊 / ドローン / 環境計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
ベトナム・カンボジア国境近くの森林内にて採取調査を行った。現場にて3Dペンを使って立体物を製作し、モーターやリチウムイオンバッテリー、直流昇圧回路、明暗センサーなどをつかってトラップの試作を重ねた。本研究で製作した最適化蚊トラップを改良につぐ改良の結果、当初の予定をこえるペースで、フィー ルドテストにて好成績を出すことができるようになった。 今年度はコンセプトモデルが完成したため、プロダクションレベルの堅牢性と確実性をねらって3Dプリンタによる製作を日本国内で重ねた。具体的には、低電圧での長時間駆動のための回路最適化、ベンチュリー効果をねらった特殊構造による流速の高速化、折りたたみ式の超軽量簡易トラップの製作、静粛性と長時間の安定動作をめざしたPCファン各種を検討し、最適なファンの選択、ファンそのものの生体模倣による静粛化、DVDドライブに使われている超省電力モーターを流用した高効率ファンの製作などである。 実験のため非常に蚊が多く発生(3分で45匹程度)する千葉県内のある丘陵の竹やぶに隣接する民間駐車場を借り上げ、近くに寝泊まりしながら昼夜6台ほどの試作トラップで連日テストと改良を繰り返した。 その結果、トラップにおいては2種類の基本的なモデルを製作した。1つは電源効率が高く、かつ材料も少なく軽量でありながら、従来のCDCトラップと同等の捕獲性能を得られるモデル、もうひとつは1ミリほどの薄いパネルの組み合わせで組み立て式とすることで、収納時のスペースを最小限にし、従来の1/5ほどのサイズと重さで同等の性能を発揮する省スペース・折りたたみ型トラップである。 ドローンの付加機能においては、空中での物資落下装置を製作し、飛行試験を完了した。 成果報告として論文を2件発表した(1件は審査中)。関連して、医学部でのハンズオン形式の演習・講義を1件行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画の調査地が、現地当局の研究協力者の健康上の理由による退職から変更を余儀なくされた。その結果、雨季と 乾季での調査地のデータの連続性が一部失われている。この齟齬を解消すべく、一部予算の執行を一年延期した。新たに今年度協力者を得て、設定したベトナム内の別の島嶼部調査地を含む通年調査として企画し実施を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
樹上トラップには直射日光が直接あたる。しかし一般的なPLAフィラメントは試作が容易な反面、直射太陽による70度への昇温でガラス転移温度を超えてしまうため、変形する。3Dプリンタによる試作・製作強化、高温環境でも耐えられる素材による出力、電源まわりの接続の簡便さとロバストネスの追求、これらの技術を統合し、樹上トラップの完成を目指す。
また本課題の鍵装置であるドローンへのトラップ着脱装置の完成を急ぐ。こちらは必要な部品はほぼ揃い、トラップなどを掴んだり離したりできる腕部分の部品も設計し、3Dプリンタで出力が完了した。あとはこれらを組み立てて実地での試験となる。
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Causes of Carryover |
当初計画の調査地が、現地当局の研究協力者の健康上の理由による退職から変更を余儀なくされた。その結果、雨季と 乾季での調査地のデータの連続性が一部失われている。この齟齬を解消すべく、新たに今年度協力者を得て、設定した ベトナム内の別の島嶼部調査地を含む通年調査として企画し実施を予定しているため。
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Research Products
(3 results)