2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of oxygen isotope chronology of tropical trees
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16K14943
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岡田 直紀 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (40335302)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 熱帯樹木 / 酸素同位体比 / 年輪 / 降水 |
Outline of Annual Research Achievements |
気候の異なる東北タイ、半島マレーシア、ボルネオ島キナバル山において採取した降水の酸素同位体比(δ18O)を測定した。雨季乾季の明瞭な東北タイではδ18Oの明瞭な季節変化が見られ、やはり降水の季節変化が見られるキナバル山でもδ18Oの季節変化を確認した。これに対して湿潤熱帯の半島マレーシアでは季節変化が希薄であった。降水のδ18Oは材のδ18Oの変化に大きく影響することから、湿潤熱帯の樹木では材のδ18Oの季節変化は大きくないものと予想された。 東北タイのチークを試料として、個体内の幹の方位および個体間によるδ18Oの値の違いを検討した。半径方向のδ18Oに個体内では方位間で同調性が高いことを確認したが、個体間では必ずしも同調性が高くないものがみられた。東北タイ調査地の樹種でδ18Oの変化を比較すると、降水のδ18Oの季節変化を反映して、雨季には値が低下し乾季にむけて上昇する共通した傾向を認めた。しかし、異なる樹種間では変化パターンに違いがあった。半島マレーシアのフタバガキ科樹種で比較すると、属が同じ場合でも種によってδ18Oの変動幅の大きいものとそうでないものとが見られた。以上のことから、異なる樹種間で酸素同位体比の幹半径方向の標準変化パターンを見出すことは難しいと推定された。 直流高電圧を形成層に加えて材の形成時を推定するための形成層マーキングは、処理の時期と感受性の種間差があることが分かった。季節熱帯では成長期である雨季がマーキングに適していると考えられた。マーク形成にはばらつきがあるが、このマーキング法は、同位体分析を行う材試料の形成時期を推定するのに有効な方法と考えられた。 熱帯において酸素同位体を用いた年輪研究を進めるためには、樹種の選択、マーキング法の改良、降水の酸素同位体比の観測を含めた気象データの収集が課題であると考えられた。
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Research Products
(1 results)