2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K14947
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
井上 みずき 日本大学, 文理学部, 准教授 (80432342)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤 晋一 秋田県立大学, 生物資源科学部, 教授 (40315601)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ウイルス / バイローム / 森林 / 農地 / RNA |
Outline of Annual Research Achievements |
従来の植物ウイルス学は「病害」があるウイルスのみを対象に進められてきた。一方で、野外植物においては病徴がみられないまま、様々なウイルスが潜伏感染していると予測され、これらが農地へ浸みだし病害を発生させていると考えられている。また、森林生態系で主体となる樹木では冬季もウイルスを樹体内に保持し、そのベクターであるアブラムシなどの越冬の場となり、春以降の一年性草本へのウイルス伝搬のソースとなっている可能性がある。しかし、森林におけるウイルス群集の研究はほぼ行われてこなかった。ある種でみつかったウイルス群集をバイロームと呼ぶが、本研究では、里山林のグローバル・バイローム(生態系の網羅的なウイルス群集)をメタゲノミクス的アプローチにより明らかにする。また、農地への浸みだしや反対に農地からの浸みだしを検知するために、森林生態系と農地生態系にまたがるように調査を行った。1)森林群集の植物ウイルスの多様性、2)樹木や多年生草本と1年生草本の間で共有されている植物ウイルスの有無の2点を明らかにする。 東京大学田無演習林と田無農場に長方形プロットを設置し、樹高10m以下の樹木および下層の草本を対象に葉を採取した。本年度は葉からのウイルスのRNA抽出法の改良を行った。粗RNA抽出方法としては、超遠心による濃度勾配を利用したVLP-VNA法、すいすいキット、セパゾール、TRIZOLを試した。その結果、すいすいのRキットもしくはTRIZOLとDECS法の相性がいいと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
TotalRNAの抽出については順調であったが、DECS法により二本鎖RNAにする際に、ウイルスRNAが取れないことが続き、実験手法の改良に時間がかかった。
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Strategy for Future Research Activity |
実験手法のおおよその改善はできたので、この手法をもとに、すでに採取済みの葉を用いてウイルスRNAを検出する予定である。DECS法ではRNAウイルスが増殖する際の二本鎖RNAをターゲットにしているため、ウイルスが増殖中の葉を採取できるかどうかも重要なポイントになるため、現在採取している葉で検出できなかった場合は、再度葉を採取することも視野に入れる予定である。
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Causes of Carryover |
RNA抽出の改良に時間がかかり、ウイルスのRNA抽出が遅延した。結果的に、次世代シーケンサーを数回使用する予定が、1回しか使用しなかったため。ただし、RNA抽出方法については改良のめどが立ったため、来年度は今年度採取した葉を用いてRNAを抽出し、次世代シーケンサーを使用する。また、それでも検出できない場合は、葉のサンプリングから再度やり直す予定であり、複数回の次世代シーケンサーの利用を計画している。
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