2018 Fiscal Year Research-status Report
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16K14948
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Research Institution | Prefectural University of Kumamoto |
Principal Investigator |
井上 昭夫 熊本県立大学, 環境共生学部, 教授 (80304202)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 樹幹表面積 / 人工林 / 自己間引き / 森林計測 / 密度指標 |
Outline of Annual Research Achievements |
Inoue and Nishizono(2015,Eur J For Res)によって提案された「樹幹表面積の保存則」について,昨年度に引き続き,さらに詳細に検討した。 まず,国内外で収集された針葉樹(スギ,ヒノキ,カラマツおよびバンクスマツ)の伐倒木データと樹幹解析データを収集し,樹幹表面積を推定するための回帰モデルについて再検討した。その結果,針葉樹の場合,樹高と胸高直径を変数とするモデルによって樹幹表面積を適切に推定できること,また,モデルにおける係数の地域間・樹種間での変異は小さいことがわかった。 次いで,昨年度までの研究において開発した新しい密度指標(相対樹幹表面積)について,さらに解析を進めた。収穫表の調製を目的として収集された国内のスギ・ヒノキ人工林の林分調査データを用いて,相対樹幹表面積と従来からの密度指標(収量比数,相対幹距およびReineke式に基づくrelative density)との関係を解析した。この内容は,昨年度までの内容と重複するが,本年度においては,Solomon and Zhang(2002)の方法にしたがい,厳密に自己間引き曲線を決定することに留意した。その結果,相対樹幹表面積と従来からの密度指標との関係は,べき乗式によって近似できること(従来からの指標との互換性を有すること),また,相対樹幹表面積の方が密度の変化や違いに対して,より敏感に反応することがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年4月に発生した熊本地震の影響のため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年4月に発生した熊本地震の影響により,当初より大きな遅れが生じていたが,平成30年度においては,その遅れをおおよそ取り戻すことができた。研究期間を延長したので,平成31年度においては,これまでに得られた結果をもとに「樹幹表面積推定モデルの開発」と「樹幹表面積に基づく密度指標の提案」について,論文化の作業を早急に進めることを予定している。また,樹幹解析データと固定試験地での林分調査データをもとに,新しい密度指標(相対樹幹表面積)と林木の成長との関係について解析を進め,その成果についても論文として積極的に公表することを計画している。
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Causes of Carryover |
研究開始初年度に熊本地震が発生し,研究のスタートが大幅に遅れたこと,ならびに,本年度の途中に所属機関の異動が決定し,研究の中断を余儀なくされたために,次年度使用額が生じた。本年度においては,研究のために要する物品の購入,これまでの研究成果の論文化(オープンアクセス)などの予算使用を計画している。
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