2017 Fiscal Year Research-status Report
胚性万能細胞に由来するマツノザイセンチュウ抵抗性苗の効率的な生産技術の開発
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16K14949
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Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
丸山 毅 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (20353865)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細井 佳久 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (50353842)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 胚性万能細胞 / マツノザイセンチュウ抵抗性苗 / 不定胚形成 / クロマツ / マイクロプロパゲーション / 胚培養 / 体細胞分化 / 大量増殖 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、誘導したクロマツ胚性万能細胞の中から分化能力の高い系統を選抜し、固形培地で2~3週間ごとに継代培養して増殖させた胚性万能細胞を不定胚の誘導培養実験に試料として用いた。容器として90 × 20 mmのシャーレを、培地として不定胚成熟用EM培地を用い、培養は暗黒下、25℃で行った。その結果、増殖させた胚性万能細胞を不定胚成熟用の培地に移すと、培養開始約6週間後に成熟不定胚の形成が見られた。成熟不定胚の誘導率は、細胞系統によって異なったが、シャーレあたり150個以上の不定胚が形成された。液体培養について、固形培地で検討した培養条件をもとに、300 mlの培養フラスコ内で、液体培地を用いて胚性万能細胞からの不定胚の誘導実験を行った。液体培養条件の検討はまだ途中段階であるが、細胞の培養密度が不定胚の誘導率や成熟化に多大な影響を及ぼすことが明らかとなった。 また、得られた成熟不定胚を用いて、効率的に発芽および個体再生するための培養条件の検索を行った。その結果、成熟不定胚を直接、発芽培地上で培養すると、不定胚全体の膨脹は促進されたものの、不定胚の発芽はほとんど見られなかった。これに対して、10~20日間程度脱水処理させた後に発芽用培地で培養すると、約1~2週間後に発芽を開始し、4週間目に80%以上の発芽率を示した。その後、発芽した不定胚のうち、約9割が植物体を形成した。脱水処理がクロマツ不定胚の発芽促進に有効であることが明らかとなった。さらに植物体を成長させるため、発芽時と同一組成の培地に移植すると、健全な成長が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マツノザイセンチュウ抵抗性クロマツ家系の胚性万能細胞から、固形や液体培地を用いて、効率的に不定胚を誘導するための培養条件を検討した。それに加えて、誘導した成熟不定胚を用いて、効率的に発芽および個体再生するための培養条件を明らかにした。これらにより当年度に設定した研究目標をおおむね達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、不定胚由来の再生個体を用いて、効率的に順化苗を作出するための植物体の外気順化条件を明らかにする。また、胚性万能細胞のプロトプラスト培養により、効率的な不定胚誘導が可能であるかを検証する。
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Causes of Carryover |
次年度は、研究の成果発表等に使用する額が予定より多くなることを予想されたため、一部の額を次年度に繰越した。
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