2018 Fiscal Year Annual Research Report
Genetic and ecological study on pelagic eggs as a model Sparidae species in semi-enclosed field
Project/Area Number |
16K14974
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
海野 徹也 広島大学, 生物圏科学研究科, 教授 (70232890)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 広島湾 / 魚卵 / クロダイ / 減耗 / 産卵 |
Outline of Annual Research Achievements |
広島湾において、4~5月に水中ポンプにより分離浮遊卵を採集した。卵の採集定点は広島湾の内外に設定した計14定点とし、採卵水深は、2、5、10、15mとした。採集した卵の一部は、直ちに1㎜前後の球形卵をソーティングし、顕微鏡下で発育段階を精査した後、エタノール固定した。その後、モノクローナル抗体による抗原抗体反応によって種確認を行った。一部の陽性卵は種特異的なミトコンドリアDNAマーカーの定量PCR法とナノドロップによるDNA定量によって、卵の発生段階を特定した。今年度と昨年度の結果から、受精直後の卵はカキ筏周辺の水深10m帯で高密度であったことから、クロダイは広島湾に密集するカキ筏を産卵場として利用していると思われた。DNA定量法によって採集卵の発生段階を特定し、受精時間を推定した結果、クロダイの産卵時間のピークは午後6~8時と考えられた。広島湾のクロダイ卵密度から卵数法によって親魚を推定すると、約800~1000万尾となった。産卵時間に採集した受精直後の卵を用いて、マイクロサテライトDNA多型をパラメーターとして有効親魚数Neを推定した。受精卵は遺伝変異に富み、有効親魚数Neは無限大となった。広島湾におけるクロダイ卵の減耗率は比較的高く、0.108/h、0.9/dayと推定された。魚卵採集時に採集される浮遊期の仔魚は、5月下旬から6月初旬~中旬に多くなった。また、サーフゾーンネットによる着底稚魚の採集では、7月初旬に着底のピークが認められた。これら稚魚の耳石日周輪からすると、5月下旬に孵化した仔魚が同湾の新規加入群として機能している可能性が示唆された。
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