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2016 Fiscal Year Research-status Report

イルカiPS細胞の樹立

Research Project

Project/Area Number 16K14983
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

浅川 修一  東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (30231872)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2018-03-31
Keywords腹びれイルカ / iPS化 / 初期発生 / 線維芽細胞 / 培養細胞の不死化・株化 / 四肢形成 / 後肢形成 / 希少動物保全
Outline of Annual Research Achievements

腹ビレイルカを含め、イルカ細胞のリソースは限られているので、まずiPS細胞の確立の前段階としてイルカの繊維芽細胞培養技術の確立と不死化を行った。腹びれイルカ初代線維芽細胞を6well dish上で培養し、Blasticidin S耐性遺伝子を有する組換えレンチウイルスを用いて不死化因子SV40TおよびhTERT遺伝子を導入した。感染実験では単独あるいは混合ウィルス液を、量を調節し計6通りの条件を試みた。導入2日後にBlasticidin Sを添加して感染細胞を選別した結果、SV40T 発現レンチウイルス液1 mL、SV40TおよびhTERT 1 mL共感染条件下でBlasticidin S耐性細胞を得ることができた。これらの細胞は一般的なヒト線維芽細胞の分裂限界を超え、現在も分裂を行っている。さらなる性状解析のため、得られた細胞をシングルセルに単離し増殖曲線を作成したところ、これらの細胞は不死化因子導入前の線維芽細胞と比べて著しく増殖速度が上がっていることが分かった。さらに、これらの細胞からタンパク質を抽出しAnti-SV40T antigen抗体を用いてWestern blottingを行い、SV40Tの発現を確認することができた。これらの結果から、得られたSV40T導入細胞およびSV40T・hTERT導入細胞は不死化されており、腹びれイルカの細胞株の樹立に成功したと結論づけた。
次に、得られた細胞株を用いてエレクトロポレーション法によりヒト由来未分化誘導因子Oct3/4, Sox2, L-Myc, Klf4, Lin28遺伝子を共導入し、腹びれイルカiPS細胞の樹立を試みた。導入条件は1650 V, 10 msec, 3回および1300 V, 20 msec, 2回の2条件を試みた。導入1ヵ月後、これら2条件においてコロニー状の細胞集団が観察された。得られたコロニーに対して多能性マーカーであるアルカリフォスファターゼ染色を行ったところ染色を確認することができた。これにより、得られたコロニーは脱分化状態であるという可能性が示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

前述のように組み換えレンチウイルスを用いて腹びれイルカ初代線維芽細胞にSV40TおよびhTERT遺伝子を導入し、細胞株を樹立することができた。腹びれイルカの細胞資源は限りがあり大変貴重であるが、細胞株を樹立したことにより腹びれイルカの遺伝情報の保全および腹びれイルカ線維芽細胞を用いた実験を容易に行うことが可能になった。
また、本研究の最終目標である腹びれイルカiPS細胞の樹立については試験段階として不死化した腹びれイルカ線維芽細胞を用いてヒト由来未分化誘導因子の導入を行い、iPS細胞様細胞集団を得ることができている。これらのiPS細胞様細胞集団は多能性マーカーアルカリフォスファターゼ染色により染色されたことからiPS細胞である可能性が高く、さらなる検証が必要ではあるが腹びれイルカ初代線維芽細胞を用いても同じ手法が使えると考えられる。これらの結果を踏まえ、本研究は現段階でおおむね順調に進んでいると考える。

Strategy for Future Research Activity

不死化した腹びれイルカ線維芽細胞を用いてヒト由来未分化誘導因子を導入することによりiPS細胞様細胞集団を得ることができたが、アルカリフォスファターゼ染色の他にSSEA-4染色など複数の多能性マーカーによるさらなる検証を行い、得られたiPS細胞様細胞集団がiPS細胞か判断する。それらの結果を踏まえ、得られた細胞がiPS細胞であれば、次に通常イルカ初代線維芽細胞を用いてヒト由来未分化誘導因子を導入し、最終的に不死化していない腹びれイルカ初代線維芽細胞に応用する予定である。
一方得られた細胞がiPS細胞でないという結論に至った場合、イルカ由来未分化誘導因子をクローニングし、再び不死化した腹びれイルカ線維芽細胞を用いて導入・検証を行う予定である。

Causes of Carryover

イルカ細胞取得に関して、共同研究者を訪問することを考えていたが、都合により延期した。

Expenditure Plan for Carryover Budget

29年度は、共同研究者施設を訪れ、新たに細胞を取得し、研究を進める。

  • Research Products

    (1 results)

All 2016

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] 腹びれイルカの細胞株樹立およびiPS細胞作製への試み2016

    • Author(s)
      宮下梨菜・高柳淳・桐畑哲雄・大隅清治・吉岡基・加藤秀弘・浅川修一
    • Organizer
      第39回日本分子生物学会年会
    • Place of Presentation
      パシフィコ横浜  神奈川県横浜市
    • Year and Date
      2016-12-01 – 2016-12-01

URL: 

Published: 2018-01-16  

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