2016 Fiscal Year Research-status Report
魚卵をターゲットとした超効率・超集積型タンパク質発現系の開発
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16K14984
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
田丸 浩 三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (50324554)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ゲノム編集技術 / ゼブラフィッシュ / Crispr-Cas9 |
Outline of Annual Research Achievements |
当研究室で開発したゼブラフィッシュ全身発現用プロモーター zef1alphaを用いて、ゼブラフィッシュでの機能的なCRISP R-Cas9システム用プラスミドの構築した。すなわち、ゼブラフィッシュ初期胚にマイクロインジェクション法を用いCRISPR-Cas9システム用プラスミドの導入を行った。遺伝子導入後1日胚を回収し、全RNAを抽出した後cDNAの合成を行った。これを鋳型としてPCRに供した結果、sgRNAおよびCas9 mRNAの増幅が確認され、ゼブラフィッシュでのプラスミドによるゲノム編集の可能性が示唆された。また、別のプラスミドベクターの構築も試みた。すなわち、Cas9 遺伝子の下流に EGFP があるベクターに標的遺伝子を組み込んだプラスミ ドおよび外来遺伝子としてmCherry を選択し、その配列の両末端に標的遺伝子と切断部位と相同な配列を付加 したプラスミドの2種類を作製した。また、標的遺伝子は孵化酵素の遺伝子(HE1b)から2ヵ所選択して、mCherry の両末端側に1種類ずつ付加して作製した。最初に1 種類の Cas9 プラスミドを ゼブラフィッシュ受精卵にインジェクションし、24時間後に蛍光 顕微鏡で GFP の発現の有無を確認した。次に,発現が確認された卵から mRNA を抽出して逆転写 PCR 法で gRNA と Cas9の検出を試みた。その結果,GFP の蛍光発現した胚を確認した。その GFP 発現胚から合成したcDNA で RT-PCR をしたところ、Cas9 タンパク質が遺伝子レベルで細胞内合成されていた。構造的安定性に富むプラスミドでのゲノム編集の可能性が示唆されたことから、ゼブラフィッシュに対してのゲノム編集がより簡便になると期待している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ゼブラフィッシュ用ゲノム編集ベクターの基本設計は完了し、特定のプロモーターによる蛍光レポータータンパク質の発現が確認できた。また、ビテロジェニン1由来配列は検出に時間を要することも明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
ゼブラフィッシュゲノム情報を活用して、マウスで発見された Rosa26 様領域の探索を行う。すなわち、マウスゲノム編集において、組織特異的なエピジェネティックな抑制制御を受けないゼブラフィッシュ Rosa26 様領域へのゲノム編集用ベクターを組み込むことで GFP 陽性卵の単離を試みるとともに、GFP 発現量を定量する。さらに、ヒト脂肪細胞から分泌されるAdiponectin を標的タンパク質とし て、卵黄への輸送と蓄積をウエスタンブロッテイングにより確認するとともに、抗ゼブラフィッシ ュ Vtg1 ウサギポリクローナル抗体を用いて定量する。さらに、的タンパク質を卵黄から大量に抽出 精製後、その収量を測定すると共に、培養細胞に添加することで発現精製したタンパク質の生理活性の有無を評価検討する。
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Causes of Carryover |
ゲノム編集実験において、使用するプラスミドの必要数が当初の計画より少なく済んだため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
成果報告のためプリンターなどに使用する予定。
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