2017 Fiscal Year Research-status Report
小果樹類の市場構造と機能性食品市場への原料供給の可能性に関する研究
Project/Area Number |
16K14994
|
Research Institution | Hokkai-Gakuen University |
Principal Investigator |
宮入 隆 北海学園大学, 経済学部, 教授 (40422018)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 信 北海学園大学, 経済学部, 教授 (60269173)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | ラズベリー / カシス / ハスカップ / 小果樹類 / 産地形成 / 機能性食品市場 / 農産物流通 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度は、ラズベリー(五城目町・能代市)およびハスカップ(美唄市・千歳市)の産地調査、さらに市場調査として大田市場内の専門仲卸業者を中心に小果樹類の出回り状況の調査を行った。 秋田県・五城目町のラズベリー生産は10年目を迎えたが、近年は2トン前後の生産量で推移している。販売面においては、県内の洋菓子店などを中心に安定的な販路を確保できているものの、機能性を前面に出した販路開拓には至っていない。その要因としては、現在の販売先で一定の高単価が実現できており、また、生産量も地場業者の需要を満たす水準でしかないことによる。 ハスカップにおいては、道内でも最大の出荷量を誇るJA美唄市とJA道央管内の千歳市の実態について調査を行った。両者とも、一定の生産量を維持しているものの、近年の需要の拡大に合わせた生産振興を進めることはできていない状況にある。最大の要因は担い手・労働力不足である。千歳市では旧農協時代は直営加工施設でハスカップの特産品開発を行っていたが、農協の合併後は、委託加工および原料販売を中心にしている。販売先によっては、機能性の高さを謳って販売している場合はあるものの、やはり菓子製造等の一般的な販路に留まっていることが明らかになった。 市場調査では、まずハスカップの道外での出回り状況を調査した。大田市場の小果樹専門業者においても年間数百㎏の取り扱いと、依然として認知度が低く、主に北海道フェアなどでの料理の原料需要などに限られていた。また、ハスカップは過熟を進めないために生食販売においても冷凍での販売となり、形状や黒い色が生食需要の拡大のネックとなっていることも明らかになった。その他、輸入小果樹類の状況についても聞き取り調査を行った。円安の中でも価格の高騰は一定回避されており、とくにラズベリーの需要は堅調に推移し、日本でも果実として定着している状況にある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年のカシス調査をモデルに、今年度も予定どおり、ラズベリー、ハスカップの産地調査、市場調査を実施することができた。また、2017年9月に開催された日本園芸学会の小果樹研究会において、「小果樹類の生産振興と市場創出の可能性」と題して報告を行い、自然科学系の研究者からも貴重な助言を頂くことができた。 さらに昨年度から継続している統計資料分析を受けて、課題としていた国内での小果樹の需要動向の調査も行い、とくにハスカップが卸売市場でも少量であるが販売されていることが明らかになった。この結果を踏まえつつ、さらに加工業者等での調査も行い、小果樹類の市場構造の解明を進めていく予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は3ヵ年の最終年度であるため、これまでの研究成果を踏まえて、産地での生産振興や販売実態に関しては、品目間の比較分析も行いながら成果のとりまとめを行っていく。 他方で、産地調査や市場調査からは、本研究が主に対象としてきたカシス・ハスカップ・ラズベリーにおいて、国内で生産された小果樹類が機能性食品となっている事例は未だにみられない状況にある。他方で、北海道内で生産が盛んなアロニアに関しては、アントシアニンの含有量が多いことを示し、機能性食品の原料となっている事例も存在する。今後は、アロニアも対象にしながら、需要動向と機能性食品の原料としての小果樹生産の課題について検討していきたい。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた主な理由は、研究遂行にあたって旅費の割引等で予定よりも低額で出張が可能となったこと、そして、物品の購入金額も低額だったため残額が生じたからである。 使用計画としては、次年度の調査・研究を充実させるため、調査旅費および消耗品等の購入で使用する計画である。
|
Research Products
(1 results)