2016 Fiscal Year Research-status Report
インバウンド時代の農村ツーリズムとホスピタリティの効率性評価経済学の基礎構築
Project/Area Number |
16K14996
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
大江 靖雄 千葉大学, 大学院園芸学研究科, 教授 (60302535)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 農村ツーリズム / 経営効率性 / 農村ホスピタリティ / DEAモデル / インバウンド観光 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.我が国のインバウンド観光需要で最も大きなシェアを占める来日中国人観光客に対して、地方空港である茨城空港を利用する上海からの来日便乗客を対象に、日本のおもてなしに対する面接法によるアンケート調査を行い、日本のおもてなし要因として、親近感、過ごしやすさ、効率の良さ、丁寧さの4つの要因で構成されると考え、その印象変化を訊ねた。このアンケート調査結果から、訪日旅行回数を被説明変数とするポアソン回帰分析を適用して解析した。計測結果から、日本のおもてなしに対する印象変化は、4つの要因においてそれぞれ正で有意な結果となり、中国人旅行者の訪日回数を促進する要因として、日本流のおもてなしが大きく作用していることが示された。 2.我が国独特のホスピタリティを提供する旅館の経営効率性について、WindowDEAという時系列の評価が可能なモデルで比較を行った。その結果、リーマンショックや東日本大震災以後、特に、小規模経営では効率性が低下しており、経営規模間での格差が拡大していることを実証した。地域別にみると、北海道が最も効率的であり、その原因として魅力的な観光資源の存在や外国人観光客の増加があることを指摘した。今後の支援策としては,小規模経営に対する経営能力向上の取り組みが重要といえる。 3.農村レストラン経営者へのwebアンケートの結果から、その経営者意識を条件付きロジットモデルにより解析した結果、メニュー・おいしさ・外装やインテリアを重視し,かつ,リピーターが多い点で「顧客が満足する経営」への指向を有すると考えられるレストラン経営者の満足度が高いということを、統計的に検証した。特に、食事のおいしさは経営者の経営満足度に、最も影響を与えている要因であることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予算上では、大きな支出を伴っていないが、研究の進捗は順調であり、研究成果の発表も十分行うとともに、投稿して論文掲載を果たしているので研究成果は確実に出ているということができる。これらの理由から、上記の判定としている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は農村ツーリズムに関する計量的な実証分析をさらに進めるとともに、理論的なモデル構築を進めることを計画している。その際、海外の研究者との共同研究を行い、研究の効率的な実施と国際的な発信を行うことを計画している。
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Causes of Carryover |
当初計画より早く研究が進捗したことと、それにより成果のとりまとめが大変順調に進んだことから、計画していた研究実施に必要な経費支出が当初の想定より少なく抑えられたためである。そのため、経費の支出が少なく、経費の項目では海外での研究発表の旅費等での支出の割合が高くなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度研究推進を図るための経費として、充当する。特に、成果の国内外での発表には、旅費が必要となることから、海外での成果発表を積極的に行うための経費として充当する計画である。
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Research Products
(39 results)