2016 Fiscal Year Research-status Report
人類の繁栄に資する温室効果ガス除去と地力増進の特性強化持続メカニズムの実学的解明
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16K15001
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
石川 雅也 山形大学, 農学部, 准教授 (30313068)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 脱窒 / メタン / 亜酸化窒素 / 還元田 / 排水改良 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、排水改良型汎用農地の還元田における『活性窒素種と温室効果ガス』の『分解除去機能の強化とその持続性』に関する特性メカニズムの実学的解明を試みることである。具体的には、『排水改良型汎用農地』と『従来型汎用農地』の還元田に焦点を当て、『高品質水稲の安定供給と高収量』と『良質な土壌づくり』を主目的とした中で達成された『活性窒素種と温室効果ガスの大幅な分解除去』の主因機能を解明するとともに、当機能を強化させるだけでなく、強化させた当機能を持続させるための具体的な水土管理方法の提案を行うことである。 当目的を達成させるため、平成28年度は野外ライシメータによる長期間の還元田試験を行い、脱窒およびメタン排出特性を以下の3点に着目し解明した。 (1)微生物特性と化学特性を複合させた脱窒強度特性の解明:硫化水素と浸透強度に着目した『脱窒強度特性の解析』による脱窒強度予測式の導出した。 (2)『土層の分化創出強度』の検討とメタンガス排出強度予測式を導出:『土層の分化創出強度』と水稲生育の関係性を明確にし、『中干し・間断灌漑・節水』といった水管理の違いと浸透強度の関係性から、生育に着目したメタンガス排出強度予測式を導出した。 (3)『現況の汎用農地』と『排水改良型汎用農地』とのデータを比較・精査することによって、現況を維持する場合の問題点の抽出と改善点の提案を行うとともに、『排水改良型汎用農地』の優位性を明確に示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初は『土層の分化創出強度』に着目した解析を行う予定であったが、その創出強度と水稲の生育ステージに大きな関係性を発見し、各生育ステージにおける浸透強度とメタン排出に強い相関関係を発見することができたから。
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Strategy for Future Research Activity |
『健全かつ安定した』作物生育状態の持続と多収だけでなく、『活性窒素種と温室効果ガス』の分解除去機能の強化と同時に『良質な土壌づくり』が持続可能となる『補助資材』に着目し、野外ライシメータによる試験を行い、下記の2点の解析手法から、環境対応型整備の展開に資する『地力増進・安全・環境改善』型水土管理の強化持続についての究明を試みる。 (1)『浸透強度』に対する『脱窒強度』と『メタンガス分解強度』との各関係性と各持続性の検討:排水改良型汎用農地は一般的な乾田と比較して、灌漑排水量をより正確に、かつより迅速に制御可能な圃場でもある。その利点と『昨年度導出した各予測式』を活かし、『持続的地力増進の観点』から『灌漑排水量(暗渠流出水量)』と『メタンガス分解強度と脱窒強度の各極大値および各極小値』との関係性と持続性を追究し、『灌漑排水量と極大値』の組合せパターンから、諸機能を最大限に強化した灌漑排水管理方法とその持続策を明示する。 (2)『活性窒素種と温室効果ガス』の分解除去機能が強化され、その機能強化が持続するための具体的な土壌管理方法の考察:『肥料の補助資材投与による解析結果』を踏まえ、『高品質水稲の安定供給と多収』かつ『良質な土壌づくりの施行』と同時に『活性窒素種と温室効果ガス』の分解除去機能の強化とその持続のためには、どのような土壌管理方法を行えば良いかを考察する。
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