2016 Fiscal Year Research-status Report
環境コミュニティー形成によるジャカルタの溜め池評価と持続可能な維持管理手法の提案
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16K15002
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
吉田 貢士 茨城大学, 農学部, 准教授 (20420226)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 水環境 / 洪水 / 土地利用 / 水質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はこれまで調査を行ってきたジャカルタの10箇所のため池について、洪水緩和機能、水質浄化機能に関する調査を行った。 洪水緩和機能については,はじめに対象溜め池の面積、集水面積、流出口の水理構造といったデータの収集・整理を行い,流出解析モデルの構築・適用のためのデータ作成,再構成を行った.準備したデータセットをもとにカーブナンバー法と水田貯留モデルを用いてため池への流入量を算出した.溜め池からの流出量は流出口の水理構造に基づき堰の公式,あるいはマニング式を用いて計算した.これらより算出された流入量と流出量の最大値から洪水ピークカット率を算出し,洪水緩和機能を評価した.その結果すべての溜め池でピークカットが見られた.多くのため池は15%以上の洪水緩和機能を発揮したが、2009年崩壊事故を起こしたGintungにおいては緩和機能は小さかった。また,流出口の堰幅が狭いほど,もしくは,集水面積に対する溜め池面積が大きいほど洪水ピークカット率が大きくなる傾向がみられた. 水質浄化機能を評価するために,現地調査により溜め池の流入・流出口において採水をし,窒素やリン等の栄養塩について水質分析を行った.その結果,ジャカルタのほとんどの溜め池で雨季・乾季共に浄化作用が見られた.また,全窒素では滞留時間が短い雨季と比べて,滞留時間の長い乾季において浄化率が高かった.特に乾季のGintungでは浄化率が91%を示し,高い浄化機能が見られた. これらの成果については2016年11月にバリで開催された第17回世界湖沼会議において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおり、初年度は洪水緩和機能と水質浄化機能について効果を定量的に評価し、それらを世界湖沼会議にて研究発表することができた。よって、本研究はおおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、各ため池におけるインベントリーを整備するため、溜め池の深さや水面積といった幾何構造、土地利用、水質項目、トンボ生息数、利用状況などのデータを整理する。これらを自然、水質、多面的昨日、地域文化などのカテゴリー毎にチャート化し、地域住民や行政担当者に理解し易いよう整理する。
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Causes of Carryover |
現地調査実施日前後に撮影された衛星画像を購入することを計画していたが、雲の影響で良好な画像が取得できなかったため次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度調査の際に、その前後の時期における衛星画像を購入する予定である。
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Research Products
(5 results)