2017 Fiscal Year Research-status Report
根によるCs吸収プロセスの解明と根圏土壌における水・溶質移動モデルの構築
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16K15003
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
濱本 昌一郎 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (30581946)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二瓶 直登 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (50504065)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 根域 / 物質動態 / 根箱実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
H29年度では,根圏土壌における水・溶質動態を定量的に把握することを目的として根箱実験を実施した.予備実験として,根箱に設置する根の本数や長さ,根(作物)の種類,生育期間等を検討した.大豆根を用いた根箱実験(試料には一定水分量に調整した豊浦砂を使用)の結果,根近傍域で土壌水分の減少とイオンの集積が見られ,特に土壌表面付近でこの傾向は顕著であった.イオン濃度の上昇については,イオン種によって異なり,Kは他の陽イオンに比べ濃度上昇は低く,土粒子へ吸着能の違いが各イオンの移動特性に影響していることが考えられた.また,土壌試料に風化黒雲母を添加した試料では,根近傍域でのKおよびCsの移動性は抑制された.根近傍域でのX線CT画像撮影から,根近傍で土壌水分の減少と土粒子配列が疎になる結果が得られた.今後,さらに実験データを蓄積し,土壌の鉱物組成や物理性の違いが根近傍域での土壌内イオン移動特性および根によるイオン吸収に与える影響を解明していく.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
根箱実験装置の検討に時間を要したため,当初予定していた複数の土壌試料を用いた実験まで至らなかったものの,豊浦砂を用いて根近傍域の物質動態に関する基礎的データを得ることが出来た.
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Strategy for Future Research Activity |
H29年度に実施した根箱実験をさらに進め,福島県内で採取した畑地土壌や人為的に粘土鉱物を混入した土壌試料を用いるなど実験条件を増やしていきたい.最終的には根近傍域での物質動態を表現する物理モデルについて検討する.
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Causes of Carryover |
H29年度実施した実験から,本研究目的である根近傍域で水分・イオン動態を把握することが出来た.しかし,根による物質吸収だけでなく土壌表面からの蒸発が根圏土壌内部の物質動態に大きく影響を与える可能性が実験結果から示唆された.H29に用いた実験装置を改良し,より精度良く根による物質吸収を評価するための追加実験が必要であり,補助事業期間の延長とともに,H30年度での実験装置改良費として研究費を繰り越した.
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Research Products
(3 results)