2016 Fiscal Year Research-status Report
心電-脈波信号のカオス時空間解析と局所決定性解析による心循環器系診断支援システム
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16K15016
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
酒井 憲司 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (40192083)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 脈波 / 心電図 / 心循環器系 / 非線形時系列解析 / カオス / 位相解析 / 同期 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では心循環器系が高次の強制入力非線形力学系であることに着目し、線形解析とカオス解析の融合による心電-脈波同時計測信号の解析手法を提案することを目的としている。特に、心電と脈波を同時計測することによって、入力としての心電と出力としての脈波としてこれらの相互関係に着目した。 心電-脈波計測を実施し、座位安静状態の被験者に対してウェアラブル生体センサ(心電信号および脈波)と指尖脈波計を装着して心電信号と脈波信号を計測した。ウェアラブルセンサと指尖脈波の計測間隔がことなるため補間を行うことでこれを補正した。心電信号のパルス間隔を利用して脈化のポアンカレ断面を生成した。当該手法によって、脈波のみから生成した場合よりもよりもゆらぎが少なく、より鮮明な構造を観測することができた。また、心電図と脈波の相互相関関数を計算し、時間遅れτを求めた。時間遅れτは被験者による影響が5%の危険率で有意であった。そのため、生体情報の統計量として利用可能性を検討すこととした。 脈波の時系列データを対象に、局所ノイズの影響について調べた。時間遅れ埋め込みによってダイナミクスを再構成し、局所遷移誤差を計算した。その際、時系列データに対してノイズ滴定を行った。その結果、再構成されたアトラクタにおいてノイズに対して感度の高い部分とそうでない部分が明確に示された。局所感受性は、生体情報の抽出に有用な方法と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画通り、脈波の遷移誤差の局所ノイズ依存性について検討できた。心電-脈波の時間遅れを検出し、被験者の影響が有意であることを示し、生体情報として利用できる可能性を示した。原著論文と学会発表をそれぞれ1件、行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画に沿って進めるが、28年度におけるデータ解析過程で、位相解析の有効性が明らかとなった。そのため、心電および脈波の位相解析行い、それを当初計画で掲げた課題の達成に活用することとする。また、ポアンカレ断面の効果的な切断方法が得られたため、引き続き手法の精密化を図る。
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Causes of Carryover |
当初予定していた実験が人件費を用いなくとも研究室の人的パワーを用いて実施することができたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、本年度の成果に基づいて同期解析を課題の達成に活用することとした。そのために、プログラム開発と実装に人件費を充当する予定である。
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