2016 Fiscal Year Research-status Report
Nondestructive evaluation of plant disease resistance induced by nonbiological stress
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16K15017
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
荊木 康臣 山口大学, 創成科学研究科, 教授 (50242160)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 真一 山口大学, 創成科学研究科, 教授 (30243629)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 画像解析 / クロロフィル蛍光 / シロイヌナズナ / PR1 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、光照射などの物理・化学的刺激により植物体で誘導された病害抵抗性の状態・程度を非破壊的に評価する手法の開発のための基礎的知見を得ることを目的としている。 本年度は、①モデル植物の決定とその栽培系の確立、②モデル植物での病害抵抗性遺伝子の発現解析法の確立、③in situ活性酸素モニタリング法の確立、④光計測による生理パラメータの取得法の検討を行った。 ①については、遺伝子解析が容易で、病害抵抗性誘導に関する知見の蓄積があるシロイヌナズナを選定し、環境制御室での栽培系を確立した。また、安定的に病害抵抗性を誘導する実験系としては、MgO処理を利用することとした。シロイヌナズナの幼苗に対し、MgO溶液を地下部に与え、病害抵抗性を誘導した。②に関しては、MgO処理により発現が促進される病害抵抗性に関する遺伝子のうち、紫色光照射でもその発現上昇が確認されているPR1遺伝子をターゲットとして、リアルタイムPCR法で定量することとした。③に関しては、数種の活性酸素用の蛍光プローブを用いて試行しているが、attached leafに対して、非破壊で(数日間にわたり連続的に)計測できる測定系は確立できてきない。このうち、一重項酸素については、当研究室において知見の蓄積のある蛍光プローブSOSGを利用し、その定量性についての検討を行っている。④に関しては、クロロフィル蛍光によるPS2の状態解析(PS2量子収率、熱放散に係る指数等)、分光反射測定、葉色測定、葉温測定に関し、それぞれの測定法を検討し、継時的なデータを取得できる実験系を確立した。 これまでに行った予備的な実験においては、MgO処理を行うとこで、一時的に、PS2の状態が変化する可能性を示すデータが得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
28年度には、モデル植物を選定し病害抵抗性を誘導する実験系を確立し、クロロフィル蛍光や分光反射を利用して、病害抵抗性と生理パラメータの関係を調査する実験を開始することができたが、まだ、活性酸素発生を非破壊的かつ連続的にモニタリングする方法が確立できていない。特に、蛍光プローブの非破壊導入法の確立と定量性の確認ができていない。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度に確立した実験系で、PS2の量子収率の状態、分光反射、葉色などの光計測生理パラメータと、病害抵抗性遺伝子発現との関係に関するデータの蓄積を図り、相関分析、重回帰分析など統計学的手法を用いて、その関係を解析する。さらに、文献調査からも関連する知見の収集を図り、光計測生理パラメータと病害抵抗性遺伝子の発現の関連について考察を試みる。また、ディープラーニングを用いて、光計測した生理パラメータの時系列もしくは空間データから、病害抵抗性誘導を推定する可能性も検討する。そして、それらの結果をもとに、モデル植物において、誘導病害抵抗性と関連する非破壊評価指標の提案を試みる。なお、活性酸素発生の非破壊計測に関しては、検討を続けるが、非破壊計測が困難な場合は、サンプル数を増やし破壊測定を行うことで、データの蓄積を試みる予定である。
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Causes of Carryover |
まだ、活性酸素の蛍光による非破壊測定の系が確立できておらず、繰り返し実験を行うまでに至っておらず、そこで使用予定の経費である試薬(蛍光プローブ)購入費、謝金の支出が少なくなっている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度も、活性酸素の非破壊測定系の確立を試みるが、同時並行で、病害抵抗性遺伝子発現と生理パラメータの測定の関係を調べる実験を繰り返し行い、試薬消耗品、人件費等の支出を行う。
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