2017 Fiscal Year Research-status Report
システムアプローチによる持続可能な畜産業の近未来予測と実現可能な政策の評価
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16K15030
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
廣岡 博之 京都大学, 農学研究科, 教授 (60192720)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 家畜 / 飼料 / 環境負荷 / 収益性 / モデル / シミュレーション / ウシ / ブタ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、国家レベルで家畜生産と飼料資源とのマッチングを検討するためのシミュレーションモデルを開発し、環境負荷の低減を考慮しながら畜産業全体の収益性の向上を目指すものであった。本年度は、前年度に開発した酪農生産モデルと豚の生産モデルの改良に加えて、ブロイラー生産と採卵鶏生産のモデルを開発した。ブロイラー生産に関しては、生時から60日齢までのブロイラーの体重の増体量と蛋白質や脂肪の蓄積量、飼料エネルギー摂取量を予測するモデルを開発し、他方、採卵鶏生産に関しては、採卵鶏の生時から550日齢までの体重の増加と蛋白質や脂肪の蓄積量、飼料エネルギー摂取量および産卵量を予測するモデルを開発した。また、これらのモデルでは、摂取タンパク量から体蓄積量や卵生産量に必要な蛋白質利用料を差し引いて、窒素排泄量を予測できるようにした。第2に、統計の項目が現在と同じ形式になった平成2年から平成28年度までの各畜種の頭羽数に関する推移を調べ、将来予測を行うとともに開発したモデルの応用に関する検討を行った。特に酪農生産においては、ホルスタイン種と交雑種の生産割合について、この期間に大きな変動のあることを明らかにした。第3に、飼料生産基盤の調査と放牧の現状に関して調べ、放牧条件下における養牛のエネルギー利用に関しても検討した。また、環境評価を行うためのLCA分析に着手し、様々な放牧条件下における肥育牛のエネルギー利用について分析を行った。最後に、これまでに実施してきた消費者の牛肉購買行動に関するアンケート調査データを分析し、将来の消費者ニーズについて検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は新しい分野の研究であり、特にわが国の飼料生産に関する情報が飼料米以外では不足しているため、十分な情報収集ができず、飼料資源のデータが不足していてモデルの構築が着手できていない。今後の課題は、飼料資源に関する情報の収集と個々の家畜生産モデルをいかに組み合わせて将来予測を可能にするかである。早急に飼料資源に関する情報収集を図りたい。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、個々の畜種からのシミュレーションモデル結果を統合して、畜産業全体の最適化と将来予測を可能にするモデルを開発する予定である。また、飼料資源に関しては官庁や作物学、草地学の専門家に相談して、できる限り多くの情報やデータの収集を図りたい。
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Causes of Carryover |
(理由)本研究は新しい萌芽研究であり、様々な情報の収集と研究の方向性を検討してきたため、最適なソフトウェアの選定ができなかった。また、今年度は成果発表に適した学会があるため、次年度使用額が生じてしまった。 (使用計画)次年度は最終年度であるので、当初の計画をできる限り実現できるように全力を尽くすとともに、成果を国内外の学会で発表する予定である。
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