2018 Fiscal Year Annual Research Report
Vision of the future sustainable animal production and evaluation of realizable policies using systems approach
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16K15030
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
廣岡 博之 京都大学, 農学研究科, 教授 (60192720)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 家畜生産 / メタン / 窒素 / アニマルウェルフェア / アンケート調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、国家レベルで家畜生産を検討するためのシミュレーションモデルを開発し、環境負荷の低減を考慮しながら畜産業全体の収益性の向上を目指すものであった。本年度は、これまでに開発してきた酪農(乳用牛と酪農由来の育成肥育牛)モデル、肉用牛(繁殖・肥育)モデル、養豚モデル、ブロイラーモデル、採卵鶏モデルを組み合わせて、近い将来である2030年における個々の畜種からの飼料摂取量(代謝エネルギー摂取量、タンパク質摂取量)、畜産物生産量、窒素とメタン排出量を予測し、またインターネットアンケートによって消費者の畜産、その消費状況、環境負荷、アニマルウェルフェアに対する意識や将来への期待について調べた。その結果、2030年の予測については、鶏以外の畜種の頭数は減少し、それに伴って飼料の摂取量や畜産物の生産量が減少することになり、特に酪農部門の減少が大きいことが予測された。しかしその一方で、頭数の減少によって窒素やメタンの排泄量も減少していた。このことは畜産業の衰退の恐れのあることを意味しており、早急な対策が必要と考えられた。他方、消費者アンケートの結果、家畜、特に牛からのメタン排出が欧米で問題視されていることを認知している消費者は20%以下(18.9%)であったが、そのようなの情報を知ることで食肉消費量を減らすと回答した消費者は52%にのぼり、さらに環境負荷やアニマルウェルフェアに配慮して生産された牛肉に付加価値を付けて購入したいと考える消費者のいることも明らかとなった。このことから、今後、わが国の畜産が生き残るためには、家畜由来の環境負荷を低減させつつ、消費者のニーズに対応した畜産物の生産、国産畜産物の生産と消費の維持、さらには増加を検討することは喫緊の課題であると考えられた。
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Research Products
(5 results)