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2016 Fiscal Year Research-status Report

キメラ技術で挑戦するスピロヘータべん毛特異的イオンチャネルの機能解析

Research Project

Project/Area Number 16K15036
Research InstitutionTohoku University

Principal Investigator

中村 修一  東北大学, 工学研究科, 助教 (90580308)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2018-03-31
Keywords細菌べん毛 / スピロヘータ / 固定子 / サルモネラ / シュードモナス / レプトスピラ
Outline of Annual Research Achievements

細菌の運動性と病原性の強い相関は古くから知られている。そのため、運動の仕組みを詳細に理解することは、細菌感染のメカニズムの解明につながる重要なアプローチの1つである。運動性細菌のうち、大腸菌やサルモネラ等は、運動器官であるべん毛を菌体の外側に持つため、その機能解析は比較的容易で、既に多くの知見が蓄積されている。一方、らせん形の菌体が特徴的なスピロヘータ類は、細胞内にべん毛を持つという他の細菌種にない特異な構造から、その機能解析は困難で、べん毛運動に関する理解が進んでいない。本研究は「細胞内べん毛を細胞外べん毛として解析する」という構想に基づき、スピロヘータ類のべん毛特異的イオンチャネル(固定子)をサルモネラに移植したキメラべん毛の作製と、その機能解析を行うものである。
はじめに「キメラべん毛の機能解析」を行った。以前の我々の研究で、スピロヘータのべん毛特異的イオンチャネル(固定子)が、外べん毛細菌サルモネラにおいてもプロトン透過活性を維持する可能性が示唆された。この結果を受け、サルモネラべん毛(回転子+繊維)とスピロヘータべん毛(固定子)の部品から成るキメラべん毛が回転機能を示すことを期待したが、未だキメラべん毛の回転を確認することはできていない。このほか、スピロヘータ-サルモネラ以外の細菌種ペアでもキメラべん毛の固定子を試みた。
得られた成果は、細胞内べん毛と細胞外べん毛の部品が、部分的に機能を相補できるが、べん毛固定子として機能するには、外べん毛特異的ドメインの導入等が必要であることを示唆する。スピロヘータべん毛固定子の機能解析の例はこれまでになく、本研究の成果がスピロヘータべん毛の作動原理解明の重要な手がかりとなることが期待できる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

キメラべん毛については、べん毛特異的イオンチャネル(固定子)MotA/MotBを欠損した変異型サルモネラ(Salmonella enterica serovar Typhimurium)株をホストとして、スピロヘータの一種であるレプトスピラ(Leptospira biflexa)のMotA/MotBをプラスミドより発現させる実験を行った。以前の我々の研究で、レプトスピラべん毛固定子のプロトン透過活性がサルモネラ内でも維持されることを確認したことから、作製したキメラ固定子が、サルモネラにおいてもべん毛回転機能(トルク発生機能)を維持していることを期待したが、これまでのところ、レプトスピラ-サルモネラべん毛の回転は観察されていない。この結果を受けて、異種の外べん毛を組み合わせたキメラべん毛が回転機能を示すかを確認するため、サルモネラとシュードモナス属細菌を組み合わせたキメラべん毛を作製したが、これについても回転は確認されなかった。
以上のように、キメラべん毛の作製は進んでいるが、その回転機能を未だ確認できていないことから、本研究の進捗はやや遅れていると評価した。

Strategy for Future Research Activity

これまでに、レプトスピラ固定子がサルモネラ内でイオン透過活性は示すことが分かっているが、べん毛の回転は観察されていない。これを解決するために、まずは、レプトスピラ固定子がサルモネラのべん毛周囲の細胞膜に安定的に挿入されていることを、固定子の蛍光ラベルによって詳細に確認する。べん毛周囲に固定子の存在が確認されない場合、以下のように、外べん毛で得られている固定子の組み込み機構に関する知見を参考にして研究を進める。
べん毛固定子がべん毛内で機能するには、ペプチドグリカン結合ドメインが必要であることが知られている。ビブリオ属細菌と大腸菌の組み合わせでキメラべん毛が作製された例があるが、この場合、ビブリオ固定子のペプチドグリカン結合ドメインを大腸菌のものに置換するで成功している(Asai et al., 2003, J. Mol. Biol.)。本研究においても、固定子ペプチドグリカン結合ドメインの置換を試みる予定である。さらに、現在進行中の他の細菌種ペアでのキメラ作製も並行して進める。

  • Research Products

    (2 results)

All 2017 2016

All Presentation (2 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Presentation] Rotation assay of the Pseudomonas syringae flagellar motor2017

    • Author(s)
      Taro Hariu, Takuo Tensaka, Naoya Terahara, Seishi Kudo, and Shuichi Nakamura
    • Organizer
      Bacterial Flagella, Injectisomes and Type III Secretion Systems
    • Place of Presentation
      沖縄科学技術大学院大学(沖縄)
    • Year and Date
      2017-03-01 – 2017-03-04
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] シュードモナス属細菌における出力特性解析2016

    • Author(s)
      針生太郎、天坂拓人、工藤成史、中村修一
    • Organizer
      第54会日本生物物理学会総会
    • Place of Presentation
      つくば国際会議場(つくば市)
    • Year and Date
      2016-11-25 – 2016-11-27

URL: 

Published: 2018-01-16  

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