2016 Fiscal Year Research-status Report
新規抗ワクモワクチン開発のためのワクモ中腸特異的抗原の網羅的解析
Project/Area Number |
16K15043
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大橋 和彦 北海道大学, 獣医学研究科, 教授 (90250498)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 史郎 北海道大学, 獣医学研究科, 助教 (10579163)
今内 覚 北海道大学, 獣医学研究科, 准教授 (40396304)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ワクモ |
Outline of Annual Research Achievements |
ワクモ(Dermanyssus gallinae)は、吸血による鶏の削痩や貧血、産卵率の低下や汚卵の発生など養鶏業に大きな被害をもたらしており、さらに近年は駆虫剤に対する耐性ワクモの出現や薬剤の残存による環境汚染が問題となっており、抗ワクモワクチンなど新規防除法の確立が必要となっている。そこで本研究では、ワクモ中腸等に発現する非暴露型抗原の網羅的解析を行い、新規抗ワクモワクチン候補因子の探索を目指して研究を実施した。今年度は、既に申請者の研究室で樹立したワクモ発現配列タグライブラリーより、マダニ等で既に非暴露型抗原として報告されているものとの相同分子の探索・同定を行った。その結果、候補因子としてEpdermal Growth Factor Receptorなど、いくつかの分子を同定し、全長遺伝子のクローニングに成功した。さらにレーザーマイクロダイセクション法にて、同定した遺伝子のワクモ体内における発現部位の特定を行った結果、同定したEpdermal Growth Factor Receptorは卵巣に、さらに他の因子の中には、中腸および卵巣に特異的に発現しているものがあることが示された。そこで、これらの因子について、その詳細な機能やワクモの吸血阻止効果などを検討するために組換えタンパクを調製した。次年度以降、さらに多くの抗ワクモワクチン候補因子の探索を行うとともに、同定した因子について、in vitro feeding assayにて、ワクチンとしての有用性を検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
抗ワクモワクチン候補因子として、Epdermal Growth Factor Receptorなどいくつかの分子を既に同定し、さらにこれらの因子が、ワクモ体内の臓器・組織等に特異的に発現する因子であることを示した。さらのその後の詳細な解析のための組換えタンパクの調製も行ったので、概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
ワクモは吸血時間が短いため、暴露型抗原を用いた抗ワクモワクチンの効果はあまり期待できない。また今回、非暴露型抗原として、いくつかの抗ワクモワクチン候補因子を同定したが、他にも有用な因子が存在する可能性が大きく、また単一抗原でのワクチンの防御効果には限界があると思われる。そこで、さらに、将来、カクテルワクチンへの応用等を目指して、同定した因子の詳細な解析とともに多くの抗ワクモワクチン候補因子(非暴露型抗原)を同定していく。また、ワクモの基礎研究基盤の確立のため、全ゲノム解析に着手する。
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Causes of Carryover |
当初実施予定であった次世代シークエンサーを用いたワクモの全ゲノム解析を実施できなかったため、次年度での計画として実施することとしため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ワクモ試料の厳選を行い、ワクモの基礎研究基盤の確立を目指して、国内分離ワクモに関して、次世代シークエンサーを用いたワクモの全ゲノム解析を実施する。
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