2016 Fiscal Year Research-status Report
ブタ胎子後腎の異種間移植によるネコ腎組織の体内再生技術の挑戦
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16K15045
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
米澤 智洋 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (10433715)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長嶋 比呂志 明治大学, 農学部, 専任教授 (50318664)
横尾 隆 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (70301538)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 異種間移植 / 腎臓 / ネコ |
Outline of Annual Research Achievements |
ネコにおいて腎臓病は罹患率の極めて高い疾患のひとつで、寿命に大きく影響するにもかかわらず、効果的な治療法が存在しない。研究代表者らは新たな治療法として、胎子後腎の移植による腎組織の体内再生術(胎生組織ニッチ法)に着目した。予備実験によって、ブタ胎子後腎をネコの腹腔内に移植すると、その周辺に腎糸球体様の再生組織が分化誘導され、ネコ由来のエリスロポエチン(EPO)の産生もあることを明らかにした。以上より本課題では、補体制御因子導入ブタの胎子後腎の異種間移植によるネコ腎組織の体内再生技術の確立と臨床応用を目指している。 異種間移植を行うにあたり、拒絶反応のなかでも急性拒絶反応は特に避ける必要がある。予備実験において、急性拒絶反応はあらかじめ抗ブタ抗体を獲得しているネコでのみ生じたことから、補体の活性化を抑えれば急性拒絶反応の大部分は避けることができると研究代表者は考えている。そこで本年度は「実験①:補体制御因子導入ブタ細胞に対するネコの免疫応答の観察」に着手した。具体的には、実施前に症例ネコがブタ後腎培養細胞に対する抗体を持つかどうかを調べられるようにするために、蛍光発色エライザによる抗原抗体反応の有無の評価系の作出を行った。健常個体とブタ抗原に対する抗体を保持する個体との間で500~1万倍の反応性の違いをもつ測定系の確立に成功し、カットオフ値を設定した。 補体制御因子の候補にはDAF (decay accelerating factor, CD55)、MCP (membrane cofactor protein, CD46)、CR1 (complement receptor type 1、CD35)、CD59が考えられれた。ネコにおけるこれらの遺伝子のクローニング、コンストラクトの作製には既に着手しており、一部は完了している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定とは異なる実験ではあるものの、手技の確立に成功し、結果的に当初の目的を達成することができているため。
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Strategy for Future Research Activity |
実験①:補体制御因子導入ブタ細胞に対するネコの免疫応答の観察を引き続き続けるとともに、実験②:実験ネコに移植したブタ後腎と再生組織の安全性、生着期間、機能性の検討、および③:腎不全発症ネコに移植したブタ後腎と再生組織による治療反応性の検討に着手する。
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Research Products
(6 results)