2017 Fiscal Year Research-status Report
Banking of dental pulp stem cells for the development of transplantation medicine in horses
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16K15048
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
帆保 誠二 鹿児島大学, 農水産獣医学域獣医学系, 教授 (60446507)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 真悟 鹿児島大学, 農水産獣医学域獣医学系, 助教 (00755887)
三角 一浩 鹿児島大学, 農水産獣医学域獣医学系, 教授 (10291551)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 間葉系幹細胞 / 歯髄由来幹細胞 / MHCハプロタイプ |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに保存していたDP-MSCの生存率について解析を行ったところ、市販の細胞保存液に保存したもので生存率が90%を超えていた。さらに、その増殖能・分化能についても凍結前の性質が保存されていた。市販の細胞保存液は、GMPに準拠した製造管理及び品質管理がなされており、品質が安定していることもから、これ以上の保存液・保存技術の検討は必要ないと考えた。以上から、DP-MSCの分離・培養・保存法を確立することができたが、一方で、DP-MSCの分離に用いる狼歯は萌出していない個体も多く存在するため、オーダーメイド治療のためのバンク化は困難であるという問題が残されていた。そこでその解決のために、人の骨髄バンク等と同様な主要組織適合抗原(MHC)のハプロタイプを一致させた他家移植を行うことができないかという発想に至った。ウマ、特にサラブレッドは「三大始祖」と呼ばれる3頭の馬に祖先をたどることができることからも、遺伝的多様性があまり大きくないことが予想され、MHCハプロタイプを合わせたレディーメイドな移植医療も他の動物種に比べて容易であることが期待される。そこで、海外ですでに報告があるマイクロサテライトマーカーを用いたウマMHCハプロタイピングについて検討した結果、本国のサラブレッドにおいても同様の方法でタイピングすることに成功した。また、本国のサラブレッド82頭においてタイピングを行った結果、ヒトでは数万人に一人と言われている父親と母親から同一のハプロタイプを受け継いだ、移植医療において有用なホモ型ハプロタイプを有する個体が5頭も存在していた。以上から、ハプロタイプを合わせた他家移植はサラブレッドにおいて有用であることが期待され、バンク化のためにMHCハプロタイピングについて更なる検討が必要であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた研究はほぼ完遂することができた。 現在はバンク化のための新たな課題について検討を重ねており、目的である「幹細胞バンク」の設立のためにMHCハプロタイピングについて研究を推進していく。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度までのDP-MSCの分離・培養・保存法についての研究を一層深めつつ、バンク化のための課題であるMHCハプロタイピングについてより詳細な解析を行っていく。また、将来的なバンク設立のための採材も並行して進めて行く。
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Causes of Carryover |
これまでにウマ歯髄幹細胞(MSC)の分離・培養法を確立し,移植医療に必要な幹細胞の性質解析を行ってきた。幹細胞の性質解析において,当初は① MSC としての特徴を維持している,② 有用なサイトカインの産生能が維持されている,③ DNA 損傷が少ない,ことを中心に解析する予定であった。しかし ,新手法として主要組織適合抗原ハプロタイピングを実施可能となったことから研究期間の延長を希望し,予算を次年度に残した。
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