2016 Fiscal Year Research-status Report
分泌小胞エクソソームを介した臓器間コミュニケーションによる卵巣制御
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16K15052
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉浦 幸二 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (20595623)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | エクソソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
動物の卵巣の機能は、個体の栄養状態、周囲の環境やストレスなど多岐にわたる要因に影響を受けるが、これらの要因が具体的にどのようなメカニズムで卵巣機能に影響を及ぼすかは不明である。本研究では、卵巣外の臓器から分泌された膜小胞エクソソームが卵巣内に到達し、卵巣機能を制御する可能性の検討を目的としている。本年度は以下の2項目を行った。 ①卵胞エクソソームの由来臓器・組織の同定 エクソソームには、それを分泌した細胞のもつmRNAが内包され、それらの中にはエクソソームを分泌した細胞種特異的なmRNAも含まれる。すなわち、エクソソームに内包されたmRNAを調べることで、それを分泌した細胞を同定可能である。そこで、組織特異的なmRNA発現を探索するために、卵胞エクソソームに内包されるmRNAをRNAシーケンス法により網羅的に解析した。当初予定では、当該研究機関の共通機器を用いて解析をする予定であったが、受託解析の価格が安くなったため、解析を企業に委託した。現在シーケスまで完了している。 ②卵胞エクソソームが卵丘細胞、壁顆粒層細胞に与える影響の解析 エクソソームはマイクロRNAに代表される小分子ノンコーディングRNAを多く内包しており、エクソソームによる細胞機能制御にはマイクロRNAが重要であると考えられている。また、我々は壁顆粒層細胞と卵丘細胞の機能には代謝制御が重要であることを報告している。そこで、卵胞エクソソームが卵丘細胞や壁顆粒層細胞での代謝に与える影響を解析した。本項目では、当初、メタボローム解析を行う予定であったが、予算の充足率が低く解析に十分な費用が取れないことから、卵胞エクソソームがこれらの細胞での代謝関連遺伝子の発現に与える影響を解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前述のように解析項目①については、おおむね完了しており、すぐにシーケンスデータの解析に入れる状態である。解析項目②については、当初はメタボローム解析を委託する予定であったが、予算の充足率が低く解析に十分な費用が取れないことから、予定を変更し、細胞代謝に関連する遺伝子の発現を解析した。現在までに卵胞エクソソームが有意な影響を与える代謝経路の同定には至っておらず、この点については解析が若干遅れている。しかし、上述はしなかったが、平成29年度に予定している卵胞エクソソームに内包されるマイクロRNAの網羅的解析につてい、予備実験を行い、卵胞エクソソーム内容のマイクロRNAを網羅的にシーケンス解析可能であることを確認することができた。総合的に判断し、おおむね十丁に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度の解析項目①で得られた卵胞エクソソーム内包mRNAの網羅的シーケンスデータの解析を行い、卵胞エクソソームの由来組織を同定する。また、卵胞エクソソームに内包されるマイクロRNAの網羅的にシーケンス解析を行う。卵胞エクソソームの機能解析については、前述のようにメタボローム解析による網羅的な解析は費用面で困難であることから、mRNAシーケンスデータおよびマイクロRNAシーケンスデータより、卵胞エクソソームの機能を予測し、予測された機能に絞って解析を行っていく。これらを総合的に判断し、卵胞エクソソームの由来組織を同定し、さらにその機能を解明する。
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Research Products
(1 results)