2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K15070
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
新美 輝幸 基礎生物学研究所, 進化発生研究部門, 教授 (00293712)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | キリギリス / 翅 / 左右非対称性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、キリギリスの発音器である翅の左右非対称性に着目する。従来の左右非対称性の研究は体に1つだけ存在する器官を対象にしてきたが、翅は1対存在し左右で独立に形成されることから、その非対称性は全く異なる原理によって生じるものと考えられる。 キリギリスはこれまで実験昆虫としてあまり使用されることがなかった。その理由は、飼育の困難さにあり、「100匹の孵化幼虫を1つの容器で飼育した場合、2、 3匹しか成虫にならない」と言われていた。そこでまず、キリギリスの新規モデル化に向け、飼育法の検討を行った。その結果、非常に効率よく若齢幼虫から成虫まで飼育する条件が得られた。また、キリギリスの効率のよい採卵法および卵の保護法の検討も行った。 キリギリス前翅の左右非対称性は主に翅脈のパターンに由来する。したがって、左右非対称性が現れる初期過程のサンプリングを行うため、翅脈形成に着目した。幼虫の翅芽を観察したところ、終齢幼虫(6齢)では明確な翅脈パターンが観察され、左右で非対称なパターンであった。そこで、4齢、5齢、6齢の3ステージの左右それぞれの前翅原基をRNA抽出のサンプルに用いた。統計的に発現量に有意差のある遺伝子を正確にリストアップするため、biological replicateは4サンプル準備した。従って、合計24のライブラリーを作製し、次世代シークエンサーを用いて解析した。その結果、発現量の少ない転写因子も網羅的に同定するのに十分な総リード数が得られた。現在、共同研究により、インフォマティクス解析を行い、左右の翅で発現差を示す遺伝子の同定を試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究を遂行する上で重大な問題点などはなく、当初の計画通り概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究遂行上の重大な問題点は現時点ではないため、予定通り研究計画を進める予定である。
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Causes of Carryover |
候補遺伝子アプローチ法に基づき、RNAi解析を行う予定であったが、飼育法の確立とRNA-seq法のサンプリングに予定していたキリギリス幼虫を使用してしまったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
RNAi解析を次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることとした。
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