2016 Fiscal Year Research-status Report
木質バイオマスから水素産生可能な白色腐朽菌株の開発
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16K15074
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
平井 浩文 静岡大学, 農学部, 教授 (70322138)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 智夫 静岡大学, 農学部, 助教 (80536516)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | バイオマス / 水素生産 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 木材高速分解菌の分子育種 水素産生白色腐朽菌Trametes versicolor K-41株による木材分解酵素産生に及ぼすcalmodulin(CaM)の影響を詳細に検討した。CaM阻害剤であるW-7を培地に添加し、その後の木材分解酵素の産生挙動を調査したところ、β-グルコシダーゼ及びラッカーゼの産生抑制が認められた。今後CaM遺伝子のクローニングを行い、CaM遺伝子高発現株の取得を行い、木材分解能を調査する。 2. 水素産生白色腐朽菌の水素産生特性 T. versicolor K-41株の水素産生特性を詳細に調査した。一般的に微生物による水素発酵は嫌気条件で行われるが、本菌は好気条件下でのみ水素を産生し、特に微生物利用が難しいとされているスギ材から効率的に水素を産生可能であった。さらに、水素産生とヒドロゲナーゼ(HYD)遺伝子発現に正の相関があることも認められた。 3. 水素高産生性菌の分子育種 2の結果を受けて、T. versicolor K-41株におけるHYD、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GPD)遺伝子プロモーター及びターミネーターのクローニングを行い、GPDプロモーター制御下でHYD遺伝子を発現するプラスミドを構築した。本プラスミドをT. versicolor K-41株に導入し、複数の遺伝子導入株を取得した。今後、遺伝子導入株の水素産生特性について調査する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
T. versicolor K-41株におけるCaMの役割が判明したため、今後GPDプロモーター制御下でCaM遺伝子を発現するプラスミドを構築し、これを導入することで、木材分解能が改善されるかどうか検討する。 T. versicolor K-41株は木質バイオマスを原料として、好気的に水素を産生するといった、極めて斬新な能力を有していることが判明し、またこの水素産生にHYDが関与していることが判明した。 現在、HYD遺伝子高発現プラスミドを構築が終了し、既に遺伝子導入株を複数得ていることから、今後、水素高産生菌の選抜を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、CaM遺伝子を高発現させることで、木材分解能が向上するかどうか、検討を進める。 また、HYD遺伝子高発現株を選抜し、木質バイオマスから好気的に水素を高産生する株の取得に努める。
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