2016 Fiscal Year Research-status Report
Cryo-TOF-SIMS/SEMによる根圏効果のサブミリスケールの可視化
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16K15075
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
村瀬 潤 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (30285241)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 根圏 / 水稲 / 微生物 / 根浸出物 |
Outline of Annual Research Achievements |
水稲根圏における原生生物の空間分布を詳細に解析するために、大判のスライドガラスを用いたミニ根箱を作成した。土壌懸濁液と混合した軟寒天培地の入ったミニ根箱で日本晴幼苗を生育し、新たに伸張した水稲根周囲を倒立型位相差顕微鏡で観察した。水稲根には高頻度で細菌捕食性の原生生物(アメーバ、鞭毛虫、繊毛虫)が生息しており、根圏周辺で活発に活動、増殖していることが明らかとなった。特に根端付近ではより広い範囲で原生生物の生息が確認された。顕微鏡観察によって見積もられた根圏に生息する原生生物の数は、土壌懸濁液にもともと存在していたと考えられる数よりもはるかに多かった。このことから、水稲根からは土壌微生物の食物連鎖を支えるだけの充分な有機物が供給されていることが示された。餌となる微生物の高い生息密度がその生育に必要と考えられる繊毛虫が、根端付近に集中していたことから、根端は根圏への有機物供給が特に盛んであることが確認された。根圏における原生生物の空間分布は種類によって大きく異なっており、繊毛虫が主に根端に生息しているのに対し、鞭毛虫は根端から基部までの根近傍に広く分布していた。アメーバは、根からやや離れた部位で観察され、繊毛虫や鞭毛虫と住み分けを行なっていることが明らかとなった。これらのことから原生生物に対する根圏効果はその種類によって空間的に異なることが示され、このことは根圏における物質の濃度勾配が形成されていることを示唆した。このような原生生物の空間分布の変化は、Cryo-TOF-SIMS/SEMの解像度をもって充分解析できるものと期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度は不慮の故障のためCryo-TOF-SIMS/SEMの使用が不可能であった。そのため、ミニ根箱での水稲幼苗の生育条件の検討および通常の顕微鏡観察による根圏微生物の観察にとどまることを余儀なくされた。
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Strategy for Future Research Activity |
根圏における微生物の分布に関する詳細な情報を最大限活用し、本年度から遂行するCryo-TOF-SIMS/SEMでの観察の効率を上げる。
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Causes of Carryover |
本年度は不慮の故障のためCryo-TOF-SIMS/SEMの使用が不可能であった。そのため、修理完了のめどが立つまで関連消耗品の購入を控えた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は、Cryo-TOF-SIMS/SEMを用いた研究に関連する消耗品に充当する。
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