2017 Fiscal Year Research-status Report
津波で失われた景観のデジタル再現と記憶の分析によるコミュニティが共有する場の解析
Project/Area Number |
16K15079
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
村上 暁信 筑波大学, システム情報系, 教授 (10313016)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 幹子 中央大学, 理工学部, 教授 (30296785)
熊倉 永子 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 助教 (90716135)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 景観形成・保全 / 記憶 / コミュニティ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,(A)プロシージャルモデリングを用いて失われた景観を再現したVRモデルを被災住民に見てもらい,(B)視点場,対象要素の特徴を分析するとともに,(C)景観要素・場と行為の関係,空間利用と日常生活との関係を分析していくことを目的としている。平成29年度はVRモデルの作成とそれを用いたヒアリングに重点的に取り組み,さらに他地域へも適用することでモデル作成手法の開発を行った。 昨年度までは,プロシージャルモデリングの一つであり, 2次元データから凹凸のあるテクスチャ付きの 3次元の建築物や道路を作成するソフトウェアであるCityEngineを用いて再現に取り組んだ。CityEngineではモデリングのための構文(CGA Shape Grammar)によって,モデルの形状やテクスチャのマッピングの種類などのルールを記述し,それらのルールを繋げて3次元モデルが作成される。そのため,VRモデルの作成にあたってはこのルールの精緻化が特に重要となる。この作業を実施し,試作したモデルについて随時住民の方達に確認してもらい,建築物で気になる点,違和感を感じる点を答えてもらい,さらにルールの精緻化に取り組んだ。その結果,日常景観の記憶を呼び起こすためには形状のルールだけでなく,染みや苔,サビといった各要素のテクスチャが重要になることが示唆された。そこで平成29年度後半は,新たにリアルタイムレンダリングソフトを導入し,建物部材等の劣化を表現するようにし,住民の方達の記憶の中にある景観の精緻な再現を行った。 平成29年度に開発した景観再現手法は新聞等で紹介され,その後NHK放送局の依頼により,「特集 明日へ つなげよう 震災から7年」の企画及び番組作成に協力した。番組は2018年3月11日に放送された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
VR作成に関しては,平成29年度に計画した内容を順調に進めることができている。特に,住民へのインタビュー調査の結果から,形状だけでは十分な再現が出来ていないという問題が生じたため,モデル作成のプロセスをもう一段増やすことにした。レンダリングソフトを用いることでこの課題を解決することができ,結果的には当初予定していた以上の精緻な再現を行うことが出来るようになった。さらに,他地域への適用も行い,景観再現方法を確立することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度までに作成したVRモデルを用いて,被災住民にヒアリング調査を行い,(B)「視点場,対象要素の特徴」,(C)「景観要素・場と行為の関係,空間利用と日常生活との関係」の分析のためのデータを蓄積する。 ヒアリングでは作成したモデルを住民に見てもらい,自由に意見を述べてもらう。作成モデルではVR空間内を自由に移動できるため,対象者にそのことを説明して,VR空間を移動してもらう。さらにどのような要素が気になるかを随時話してもらう。最後に,どのような思い出があるかを場所と共に語ってもらう。平成29年度にレンダリングソフトを導入することで飛躍的に再現精度が向上したことから,同ソフトを用いてテクスチャを改善する前後の2モデルを住民には見てもらい,それによってどの程度記憶の呼び起こしが深まるか,そこから空間利用についての具体的な思い出抽出に差が生じるかを評価する。 また平成29年度に作成したVRモデルに対して,岩沼市役所からの依頼により,岩沼市内の復興祈念施設での展示および来訪者の災害理解を深めるための資料として常時使用することが決定された。そのため,平成30年度は,データの公開と一般の来訪者の利用に適したシステムを作成することにも取り組んでいく。
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Causes of Carryover |
平成29年度は岩沼市との調整の結果,VR再現の精度向上と再現場所を増やすことを優先することにした。その結果,記憶の分析やコミュニティの場に関する詳細な分析は平成30年度に行うことに変更し,石川幹子氏の分担であるこれらの分析は平成30年度に行うことになったため,平成29年度は予算の執行を行わなかった。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Post-disaster recovery linked with pre-disaster land development and damage density of Typhoon Yolanda: Toward better land-use planning in Tacloban City, the Philippines2017
Author(s)
Hara, Y., Ohsugi, T., Tsuchiya, K., Murakami, A., Palijon, A.M.
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Journal Title
Journal of Environmental Information Science
Volume: 2017(2)
Pages: 1-12
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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