2016 Fiscal Year Research-status Report
大腸菌タンパク質膜挿入因子の改良による機能的膜タンパク質大量生産システムの構築
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16K15083
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
西山 賢一 岩手大学, 農学部, 教授 (80291334)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | タンパク質膜挿入 / 糖脂質酵素 / MPIase / CdsA |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、我々が発見した膜挿入に関わる糖脂質酵素 MPIase を含むタンパク質膜挿入因子を過剰生産させた大腸菌を構築し、機能的膜タンパク質大量生産システムの構築を目指す。MPIaseの生合成第一段階の酵素としてCdsA と YnbB を同定している。CdsA や YnbB を過剰生産すると、MPIase の生成量も 5 倍程度になることを明らかにしている。そのため、CdsAやYnbBがMPIase生合成の律速段階を触媒していると考えられる。しかし、CdsAの過剰生産の程度は数十倍であるにもかかわらず、MPIaseの発現量増加は5倍程度となっていることが判明した。このことはCdsAの反応以外にもMPIase生合成の律速段階があることを示している。CdsAの反応に関わる基質を再検討したところ、GlcNAcの供与体がUDP-GlcNAcではなくCDP-GlcNAcであることが判明した。糖供与体としてCDPヌクレオチドが利用される例はほとんど例がないうえ、大腸菌ではその存在自体未だ知られていない。そのため、CDP-GlcNAcの発現量は極めて微量であることが考えられ、その生合成がMPIase生合成の律速段階であることが強く示唆される。そこで、CDP-GlcNAc生合成酵素の同定を開始した。現在、CDP-GlcNAc生成を調べるためのアッセイ系の構築が完了した。 膜タンパク質の大量生産について、いくつかの膜タンパク質について検討した。調べる膜タンパク質としては、F0F1 ATPase の F0-c サブユニットやWzyE、CdsA自身を試した。また、真核生物由来の膜タンパク質としては、Cds1p、Cds2pを調べた。どの膜タンパク質もMPIaseに依存して膜挿入が進行することが確認でき、MPIase過剰生産の効果が観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MPIaseの過剰生産についてCdsAだけでは十分でないことが判明し、膜挿入因子の大量生産システムの構築に問題が生じたが、MPIase生合成の基質を再検討した結果、新たな基質を同定することができたため、「(2)おおむね順調に進展している。」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
新たに判明したMPIaseの生合成基質の合成酵素の同定を進め、この因子も含めて当初の計画通り機能的膜タンパク質大量生産システムの構築を目指す。
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