2016 Fiscal Year Research-status Report
オルトキシリレン中間体のドミノ型環化付加反応による縮環複素環高効率合成法の開発
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16K15098
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
松谷 裕二 富山大学, 大学院医学薬学研究部(薬学), 教授 (50255858)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ベンゾシクロブテン / ニトロン / ペリ環状反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究にて計画した、ベンゾシクロブテン誘導体の3連続型ペリ環状反応を検討するにあたり、その基質となるニトロン置換型ベンゾシクロブテンの合成法について探索した。まず、文献記載の方法に従ってカルボキシル基を有するベンゾシクロブテンを合成し、次いでCurtius転位を利用してアミノ置換ベンゾシクロブテンの合成を行った。アミノ基のアルキル化の後、レニウム触媒を用いた酸化変換により、ニトロン置換型ベンゾシクロブテン誘導体の合成に成功した。ニトロンが結合している炭素上の置換基としては、H、Me、CNの3種類の誘導体を、上記の合成経路にて調製した。 合成した3種の誘導体を用いて、連続ペリ環状反応の検討を行った。まずは、親双極子剤を存在させず、単純な熱条件下にて4員環開環と電子環状反応が連続的に進行するかどうか試みた。その結果、意外なことに、3つのいずれのベンゾシクロブテン誘導体においても、180度という高温条件に付したにもかかわらず、最初の4員環開環自体が進行しないことが判明した。そこで次に、親双極子剤を共存させて、同条件下にて検討を行ったところ、やはり4員環開環は進行せず、ニトロン部分と親双極子剤との間で環化付加反応が進行するのみであった。 以上の結果から、ニトロン基にはベンゾシクロブテンの4員環開環を阻害する、何らかの電子効果がもたらされているものと考えられる。今後は、ニトロンではなく、ニトロ置換型ベンゾシクロブテン誘導体の合成を実施し、3連続型ペリ環状反応の開発に向けて検討を続ける予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本来目的としていた連続型ペリ環状反応を進行させることはできていないが、検討すべき基質合成については順調に進捗し、その化学反応性について知見を得ることができた。この知見は、次年度に実施する基質設計に生かすことができ、更なる発展を期待できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
ニトロン置換型ベンゾシクロブテンでは目的に沿わない電子効果が生じることが分かったため、今後はニトロ置換型ベンゾシクロブテンにて当初計画の実現を目指し検討を行う。ニトロ置換型ジエン化合物について、類似した連続反応を進めている先行研究があるため、ベンゾシクロブテン誘導体の新規反応として実現性が高いものと考えている。
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Research Products
(1 results)