2016 Fiscal Year Research-status Report
生きた脂質微小ドメインを可視化する高速超解像顕微鏡法の開発
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16K15103
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大友 康平 北海道大学, 電子科学研究所, 助教 (40547204)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 二光子顕微鏡 / スピニングディスク / 超解像顕微鏡 / in vivoイメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年度は主に二光子顕微鏡の時間分解能、空間分解能の向上に関する研究に注力した。まず前者として、これまで我々が研究開発を行ってきた多点走査型二光子顕微鏡システムの機能拡張を図り、緑色蛍光発色団を効率よく励起できる新規近赤外レーザー光源の導入を行った。本光源は、従来のモード同期チタン-サファイヤレーザー光源と比べ、繰返し周波数が低い反面、ピークパワーが高い。導入により、緑色蛍光発色団の二光子蛍光イメージングにおいて、およそ 30 倍の蛍光輝度が得られることが見込まれていた。実際に、緑色蛍光タンパク質を細胞核に発現する遺伝子改変マウスの固定皮膚の蛍光像を測定することで比較を行ったところ、見積り通りの蛍光輝度の画像が得られることが確認できた。さらに、本顕微鏡システムにより、麻酔下マウスの皮膚血管中を高速移動する血球成分を、1 秒あたり 108 フレームの高速で可視化することに成功した。後者としては、我々がこれまでに研究開発を行ってきた超解像顕微鏡法の一つである誘導放出制御 (STED) 顕微鏡法の原理を適用した二光子顕微鏡について、更なる機能向上を試みた。具体的には、これまで連続波を用いてきたSTED光を数ナノ秒のパルス光とし、励起に用いた数ピコ秒パルスとの 10 ps精度で時間同期させた。微小ビーズの蛍光像より空間分解能評価を行ったところ、新たに構築した顕微鏡は、これまでに我々が構築してきた顕微鏡のおよそ 1.5 倍、従来の二光子顕微鏡のおよそ 3 倍の空間分解能を有することがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画の段階で想定していた光学系とはやや異なるものの、目標としていた機能は十分達成できる顕微鏡システムの構築に成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度は構築した顕微鏡システムの更なるブラッシュアップと当該課題が目標とする脂質膜のイメージングを行う予定である。実験と並行し、2016年度の顕微鏡システム開発成果について原著論文の執筆を行い、2017年度の前半中には投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
助成金額が申請金額より減額となったため、当初の計画において購入を予定していた空間位相変調器の購入が適わなかったことから、備品費を広視野において高精細なイメージングを可能とする対物レンズの購入に充てた。また、年度内の国際学会発表を計画していたが、発表を計画していた学会 (Focus on Microscopy 2017) の会期が2017年度となった。以上の経緯から、予算との差額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
差額については顕微鏡システムの最適化のための光学部品費、成果発表のための旅費、論文投稿費用に充てる。
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[Presentation] 未定2017
Author(s)
Kohei Otomo
Organizer
第55回 日本生物物理学会年会
Place of Presentation
熊本大学 (熊本県・熊本市)
Year and Date
2017-09-19 – 2017-09-21
Invited
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