2018 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of a novel pathway to produce hydrogen sulfide
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16K15123
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
渋谷 典広 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 神経薬理研究部, 流動研究員 (40466214)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 硫化水素 / 腎虚血再灌流障害 / メルカプトピルビン酸サルファトランスフェラーゼ / ロダネーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
硫化水素(H2S)がシグナル分子として機能することが見出されて以来、その生理作用を解明する研究が数多く行われている。H2Sの作用としては、神経伝達調節、平滑筋弛緩、細胞保護、インスリン分泌調節、血管新生など極めて多岐に及ぶ。生体内にはL-システインからH2Sの産生酵素が存在しており、シスタチオニンβ-シンターゼ(CBS)とシスタチオニンγ-リアーゼ(CSE)が知られている。筆者らは、CBSとCSE以外の産生酵素を探索した結果、3-メルカプトピルビン酸サルファトランスフェラーゼ(3MST)に着目し解析を進めてきた。昨年度の検討では、「腎虚血再還流障害の軽減機構の解明」を目指し、H2S産生酵素の発現レベルの解析を行ったが、この解析では、腎虚血再灌流障害の発生初期段階において、3MSTがCBSやCSEに先んじて減少することを見出した。本結果から、H2S産生酵素群の時系列変化という新たな視点から腎虚血再還流障害の発症、進展、あるいは軽減機構を解明できると考えられた。しかしながら、3MSTと機能的に類似すると考えられているロダネーゼ(TST)に関する動態についてはほとんど明らかにされていない。そこで本年度は、「腎虚血再還流障害の軽減機構」を引続き解明するため、TSTについて検討を行った。今回新たに3MSTノックアウトマウスを用いてTSTのタンパク質量をウエスタンブロット法で解析したところ、腎組織において両者が逆相関していることが判明した。同ノックアウトマウスでは、腎臓におけるCBSとCSEに関して変動は認められなかった。TSTを過剰発現させた腎培養細胞内ではH2Sの貯蔵型が増加する傾向が見られたが、CBSとCSEを過剰発現させた細胞内では変動しないことから、3MSTと機能的に類似すると考えられているTSTが腎機能に影響している可能性が新たに考えられた。
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