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2016 Fiscal Year Research-status Report

細胞機能の変容により曝露物質の毒性を評価する新規安全性試験技術の開発

Research Project

Project/Area Number 16K15124
Research InstitutionNiigata University

Principal Investigator

田井中 一貴  新潟大学, 脳研究所, 特任教授 (80506113)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2018-03-31
Keywords透明化プロトコール / 骨組織の透明化 / がん細胞の検出
Outline of Annual Research Achievements

本年度は1細胞解像度の個体・臓器丸ごと細胞動態解析により曝露物質の毒性を評価する新規安全性試験技術の開発を目的として、各種レポーターマウスに適用可能な骨組織を含む成獣マウス個体の透明化プロトコールの開発に取り組んだ。申請者らは、これまでに左心室から血管系を介して透明化試薬を灌流させるプロトコールによりマウス全身の透明化が高度に促進されることを見出した。また、既に開発した屈折率調整を担う溶剤は、脱脂を目的とする溶剤による脂質除去後でなければ組織内に浸透しないことを確認している。そこで、全体的な戦略として、1)マウス個体の内部から脂質除去・脱色を実現する灌流過程、2)マウス個体を透明化液に浸すことで外部から脂質除去・脱色を実現する振盪過程、3)骨組織の透明化を促進する脱灰過程、4)マウス個体を高屈折率水溶液に浸して組織内部の屈折率を均一化させる屈折率調整過程、の4段階からなる全身透明化プロトコールの開発に取り組んだ。その結果、各工程において用いる溶剤が蛍光タンパク質の消光を誘導しないことを確認しつつ、最も効果的に各工程を達成する温度条件を見出した。これらの透明化プロトコールを用いて、がんの骨転移モデルマウスのイメージングを実施したところ、骨内部に転移したがん細胞を高感度に検出することに成功した。更に、レポーターマウスの蛍光シグナルの解剖学的座標を特定するために、成獣マウスの全身レベルでの対比染色技術を確立した。この手法を用いることで、全身に分布するがん細胞を1細胞解像度でスキャン可能なイメージング解析基盤の確立に成功した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

曝露物質の毒性を評価する新規安全性試験技術を開発するためには、骨組織を含めたマウス全身の細胞をくまなく観察するための透明化手法の確立が大前提となる。これまで骨組織と骨組織以外の組織の透明化を両立する水溶性溶剤による透明化手法は確立されていなかった。当該年度では、この点の克服に主眼をおいた開発に取り組んだ。その結果、1)マウス個体の内部から脂質除去・脱色を実現する灌流過程、2)マウス個体を透明化液に浸すことで外部から脂質除去・脱色を実現する振盪過程、3)骨組織の透明化を促進する脱灰過程、4)マウス個体を高屈折率水溶液に浸して組織内部の屈折率を均一化させる屈折率調整過程、の4段階からなる透明化プロトコールの開発に成功し、骨組織内部のがん細胞の高感度な検出を可能にした。以上のことから、本研究課題はおおむね順調に進展していると考えられる。

Strategy for Future Research Activity

成獣マウスに適用可能な透明化プロトコール及びイメージングシステムを用いて全身の細胞機能から被験物質の毒性を評価する安全性試験を構築する。生存に不利な物質曝露下では、重篤な臓器・個体レベルの異常に先立ち、ゲノム変異を伴う細胞の異常増殖(がん化)や小胞体ストレスに伴うアポトーシス、周辺の細胞損傷や炎症を伴う細胞壊死(ネクローシス)などの細胞機能の変容が生じる。当該年度では、本技術の利点を生かし、細胞の異常増殖を評価可能な細胞周期を可視化するFucci2マウスや炎症応答を可視化するレポーターマウス、神経細胞の異常活性化を検出するArc-dVenusマウスなどのレポーターマウスを導入し、臓器-個体レベルの重篤な表現型に先立って応答する細胞機能の変容を全身レベルで包括的に計測するイメージングシステムの確立を目指す。
申請者らは、これまでに薬物を用いてI型糖尿病を発症させたマウスの膵臓に対して透明化・イメージング技術を適用することにより、I型糖尿病におけるランゲルハンス島の包括的解析による病理解析系の構築に成功している。当該年度では、上記のレポーターマウスに対して発がんを誘導する様々なストレスや、統合失調症などの精神疾患を誘導する薬物を用いたストレス応答の評価系構築に取り組む。全身・臓器丸ごとにおけるがん化・炎症応答・神経の異常亢進を計測することで、新たな毒性評価システムの構築を目指す。

  • Research Products

    (3 results)

All 2016

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results) (of which Invited: 1 results) Patent(Industrial Property Rights) (1 results)

  • [Journal Article] Chemical Principles in Tissue Clearing and Staining Protocols for Whole-Body Cell Profiling.2016

    • Author(s)
      Tainaka K, Kuno A, Kubota SI, Murakami T, Ueda HR.
    • Journal Title

      Annu Rev Cell Dev Biol.

      Volume: 32 Pages: 713-741

    • DOI

      10.1146/annurev-cellbio-111315-125001

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 生体組織透明化による全身丸ごとイメージング技術CUBIC2016

    • Author(s)
      田井中一貴
    • Organizer
      第35回日本糖質学会年会
    • Place of Presentation
      高知市文化プラザかるぽーと(高知県高知市)
    • Year and Date
      2016-09-01 – 2016-09-01
    • Invited
  • [Patent(Industrial Property Rights)] 光透過性に優れた生物材料を調整するための組成物およびその利用2016

    • Inventor(s)
      上田泰己、田井中一貴、村上達哉
    • Industrial Property Rights Holder
      上田泰己、田井中一貴、村上達哉
    • Industrial Property Rights Type
      特許
    • Industrial Property Number
      特願2016-092025
    • Filing Date
      2016-04-28

URL: 

Published: 2018-01-16  

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