2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K15131
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
森元 聡 九州大学, 薬学研究院, 教授 (60191045)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 宏幸 九州大学, 薬学研究院, 准教授 (30253470)
坂元 政一 九州大学, 薬学研究院, 助教 (50610177)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | パーオキシダーゼ / モノクローナル抗体 / モルヒネ / コガネバナ / 中和抗体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、抗原として使用するコガネバナパーオキシダーゼの大量発現を試みた。両酵素の遺伝子を大腸菌で発現した後、それを抗原としてマウスに免疫を行った。 2週間おきに免疫し、抗体価を測定したところ、5回免疫の後、顕著な抗体価の上昇が認められたので、脾臓細胞を取り出し、ミエローマ細胞と融合し、ハイブリドーマを作製した。抗体との結合活性が認められたので、ハイブリドーマを限界希釈法により、クローン化を行った。 次いで、得られたモノクローナル抗体が、中和活性を有するかどうか確認するために、モノクローナル抗体存在下で、コガネバナパーオキシダーゼ活性を測定した。しかしながら今回獲得したモノクローナル抗体はいずれも抗原と反応するが、抗原のパーオキシダーゼ活性を低下させるに至ってないことが判明した。そこで、抗原として使用したコガネバナパーオキシダーゼの変更を検討した。上記で使用したパーオキシダーゼは巻き戻しを行っておらず、酵素的に不活性な抗原として使用したので、組換えタンパク質の巻き戻しによる活性型酵素の調製を試みた。 すなわち、大腸菌で発現したコガネバナパーオキシダーゼの組換えタンパク質をグルタチオン存在下で、巻き戻しを行った。得られた巻き戻しタンパク質の酵素活性を測定した結果、バイカレインを酸化しデヒドロバイカレインを与える活性を有することを確認した。得られた活性型コガネバナパーオキシダーゼを抗原として免疫を行った。現在、抗体価の測定を行っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
抗原の調製およ免疫まで順調に進捗した。さらに、抗原と反応するモノクローナル抗体の作製まで達成したが、当初の目的である中和抗体を得ることが出来なかった。抗原として活性のない組換えタンパク質を使用したために、酵素活性を抑制する抗体を得ることが出来なかったと思われた。そこで、再度抗原(パーオキシダーゼ活性のある組換えタンパク質)を作成するのに時間を費やしてしまった。 申請課題の最も重要な項目は「パーオキシダーゼの中和抗体を作成すること」であるので、やや遅れていると判断した。抗原の調製法を変更することににより中和抗体を作製できるものと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、中和抗体の作製を行う。中和抗体の作製には抗原の構造が最も重要なので、中和抗体が得られないときを想定して、多種類の抗原を作製する。 申請者の研究室では、遺伝子の発現系ととして、大腸菌の他に、酵母、昆虫細胞、カイコの系を有しているので、これらの系で発現したタンパク質を精製し抗原として用いる。また、タンパク質全体ではなく活性部位近辺のみの領域を発現して、抗原として使用することを計画している。さらに、コガネバナパーオキシダーゼについては、比較的大量に植物から精製できることから、植物から精製したコガネバナパーオキシダーゼを抗原として使用することも考えている。 中和抗体が得られた以降は、最初にscFVの遺伝子を作製し、次いでscFVに蛍光タンパク質を結合したキメラ抗体(fluorobody)遺伝子の作製を推進する。申請者研究室ではscFVやfluorobodyはカイコの発現系で直接活性化として発現することを確認しているので、今回調製したこれらの抗体遺伝子をカイコで発現し、中和活性がscFVやfluorobodyにも維持されているかどうかを確認する予定である。 発現したscFVやfluorobodyに中和抗体活性が観察されるようであれば、土壌菌の一種であるアグロバクレリウムを用いて、コガネバナ培養細胞を形質転換する。さらに形質転換した細胞中のバイカレインの定量を行う。 ケシのモルヒネパーオキシダーゼについても同様の検討を行う。
|