2017 Fiscal Year Research-status Report
リガンドポケットのない核内受容体に対する天然由来アゴニスト探索と活性化機序解析
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16K15135
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Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
小谷 仁司 武蔵野大学, 薬学研究所, 助教 (10594640)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 核内受容体 / 生薬 / 天然物 / RXR / NR4A2 / 制御性T細胞 / ヘテロダイマー / スクリーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では新たな核内受容体活性化の指標として、ヘテロダイマー活性化という点に着目し、リガンドポケットを持たない核内受容体の活性化制御をおこなうことを目的として研究を進めている。昨年度までスクリーニングの作製をおこない核内受容体NR4A2とRXRの発現プラスミドを作製してきたが、問題点としてヘテロダイマー活性化をおこす既知のポジティブコントロールとなる市販されている化合物がなく、アッセイ系が機能しているかどうかがわからないということがあった。本年度はこの問題を解決するため、有機合成によるポジティブコントロールとなる化合物の作製をおこない、その化合物を用いてアッセイ系の最適化をおこなった。作製した化合物は濃度依存的なNR4A2/RXRαのヘテロダイマー転写活性化作用を示し、また既知のRXRリガンドに関しては、その化合物の種類によって活性化を示すものと示さない化合物が存在していた。その後、本研究の目的となるスクリーニングとして、研究室で維持管理している植物エキスを用いてNR4A2/RXRαのヘテロダイマー転写活性化のスクリーニングおよび、RXRα単独の転写活性のスクリーニングを実施した。このスクリーニング系はリガンドポケットを持たない核内受容体NR4A2を、ヘテロダイマーを形成する核内受容体RXRにリガンドが作用することによって、ヘテロダイマー活性化をさせるという実験系のため、RXR単独と比較をおこなっている。スクリーニングの結果、数種類の植物エキスに関して差のある植物エキスを見出しており、NR4A2/RXRを活性化していると考えられる。現在、これらの植物エキスによる遺伝子発現や細胞分化に及ぼす効果を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、昨年度までの問題点であったポジティブコントロールとすることが出来る化合物(XCT0135908)が市販されていないという点について、学内の連携研究者に有機合成による化合物作製を依頼し、手に入れることが出来たことにより改善できた。また、この化合物を利用し、ルシフェラーゼレポーターアッセイ系の最適化をおこなうことをおこない、完成したアッセイ条件により、植物エキス800種類ほどのスクリーニングをおこなった。このスクリーニングに関しては核内受容体NR4A2とRXRαのヘテロダイマーに対する転写活性化のスクリーニングとRXRαのみに対する転写活性化のスクリーニングをおこない、比較検討をおこなった。その結果、2つのスクリーニング結果で差のある植物エキスが数種類見出された。
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Strategy for Future Research Activity |
所属組織の異動があるため、より精度の高い成果を得るために補助事業期間の延長をおこなうこととし、スクリーニングにより見出された植物エキスの遺伝子発現や細胞の分化に及ぼす影響を調べることをおこなうこととする。また、研究成果の学会発表もおこなう予定である。
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Causes of Carryover |
研究代表者の雇用任期が年度末で切れることとなり、異動のための活動に時間が必要となったため、研究にあてることが出来る時間が本年度はおおよそ半減した。そのため、補助事業の研究計画を完成させ、より精度の高い成果を得るために1年間の事業期間延長を希望する。次年度使用予定の残額は、移動先で本研究計画を続けるために必要となる試薬代および学会での成果発表などに使用予定である。
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