2016 Fiscal Year Research-status Report
塩基性アミノ酸輸送体を供給経路とするクレアチン脳欠乏症治療薬の開発
Project/Area Number |
16K15153
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
寺崎 哲也 東北大学, 薬学研究科, 教授 (60155463)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立川 正憲 東北大学, 薬学研究科, 准教授 (00401810)
吉田 将人 東北大学, 薬学研究科, 助教 (80511906)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 脳クレアチン欠乏症 / 血液脳関門 |
Outline of Annual Research Achievements |
ATPエネルギーの貯蔵・再生機能を有するクレアチンの脳内レベルが著しく低下するクレアチン脳欠乏症では、発達期において精神遅滞を発症する。その中でも、クレアチントランスポーター(SLC6A8)機能欠損型は、クレアチンの経口投与が奏功しないことが報告されている。従って、SLC6A8を介さずに脳内へクレアチンを供給する治療薬の開発は、SLC6A8機能欠損型の精神遅滞治療の突破口となる可能性が高い。そこで本研究では、血液脳関門(Blood-brain barrier, BBB)と神経細胞に発現するアミノ酸輸送系を介して輸送されるクレアチンプロドラッグを設計し、SLC6A8機能欠損の患者由来線維芽細胞に対する細胞内クレアチン供給効果を実証することを目的とした。本実験は、関係機関の倫理委員会の承認のもと行った。アミノ酸輸送系の輸送基質の分子構造を模したクレアチンプロドラッグを化学合成した。SLC6A8変異症例(Gly561Arg)由来線維芽細胞における基質アミノ酸の取り込み特性が示されたことから、SLC6A8機能を欠失した細胞においてアミノ酸輸送系が機能することが示唆された。アミノ酸輸送系の基質となる3H標識基質の取り込みは、プロドラッグ共存下で有意に阻害された。さらに、症例由来線維芽細胞とプロドラッグをインキュベーションした結果、細胞内クレアチン量が増加するプロドラッグを同定した。以上の結果から、プロドラッグはアミノ酸輸送系を介して細胞内に供給可能であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画通り、クレアチンプロドラッグの設計、化学合成及び症例由来線維芽細胞を用いた評価を実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
脳クレアチン欠乏症に対する有効性を評価するため、臨床専門医の助言を求めるとともに、できるだけ早期段階でin vivoモデルでの実証を目指す。
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Causes of Carryover |
LC-MS/MSによる合成薬の分析の一部を次年度に実施予定としたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
LC-MS/MSによる合成薬の分析に用いる消耗品に使用する。
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Research Products
(1 results)