2016 Fiscal Year Research-status Report
未知の脂質・薬物吸収経路の実体解明:新規輸送体分子の同定と生理的意義の解析
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16K15155
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高田 龍平 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (90376468)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊田 優 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (80650340)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 脂質 / 生理学 / 薬理学 / 薬物動態学 / トランスポーター |
Outline of Annual Research Achievements |
受動的に細胞膜を通過すると従来考えられてきた脂質分子が、輸送体を介して輸送されることが明らかとなって久しい。しかし、長い研究の歴史を持つ脂質の生理機能や代謝経路の場合とは異なり、存在が推定される脂質および脂溶性薬物の動態制御機構の多くは未解明のままである。申請者は、生理的に重要な役割を有する脂質・脂溶性薬物の動態制御因子を同定することを目指し、研究を進めている。本研究の進展により、脂質や脂溶性薬物の動態制御機構のさらなる理解が達成されるとともに、脂質異常症の克服に向けた新たな創薬標的機構が同定されることが期待される。
研究開始年度にあたる本年度(平成28年度)には、以下の点を明らかにすることができた。 ●低密度リポタンパク質(low density lipoprotein (LDL))は、血液中で水に溶けにくい脂質(コレステロールや中性脂肪など)を体の各組織に運搬する役割を担っていることがよく知られている。今回、種々のin vitro実験、in vivo実験、臨床検体を用いた解析の結果、水に溶けにくい性質をもつ薬の多くがLDLに分布すること、そして、それらの薬の体内挙動(血液中から体の各組織への移行)は、LDLコレステロールと同様にLDL受容体によって制御されていることを見い出した。この成果は、脂質のみならず薬の運搬体としても機能するLDLの新たな側面を明らかにするとともに、LDLの血液中濃度の変動を考慮した薬の投与設計や薬物治療の最適化に繋がるものと期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
LDLなどのリポタンパク質による薬物輸送について、重要な知見を得ることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究二年度目にあたる次年度(平成29年度)には、生理的に重要な脂質および脂溶性薬物の動態制御因子の同定を目指し、さらなる検討を進める。
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Causes of Carryover |
薬物の定量分析に使用している質量分析機器の故障・修理が相次いだため、本研究に関する実験が行えなかった時期があるため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度と同様、各種試薬や実験用動物購入費用などの物品費として主に使用する予定である。
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Research Products
(12 results)