2016 Fiscal Year Research-status Report
PEG脂質を介した低分子抗体の細胞膜表面修飾による細胞選択的接着の向上
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16K15159
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
樋口 ゆり子 京都大学, 薬学研究科, 講師 (40402797)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ドラッグデリバリー / PEG脂質 / 細胞製剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は低分子抗体を細胞に修飾することで、その細胞と標的細胞との接着を増強させることである。まず、mCherryに対する低分子抗体VHHを用いて、アジドフェニルアラニン(Az-F)を導入するベクターの構築を行った。可溶化および精製を目的にGSTtagを導入し、さらにGSTtagの切り出しを目的にGSTtagとVHHの間にTEV protease切断配列を挿入したが、切断効率が極めて悪く十分なタンパク質量が得られなかった。そこで、TEV proteaseの前後にリンカー配列を挿入すると切断効率を向上できた。この他にも、Az-F導入低分子抗体を十分量得るための最適化、得られた抗体の安定化を確立するのに時間を要したため、次年度に使用する予定の接着分子を標的とする低分子抗体の作製に着手した。配列の入手が可能な接着分子E-selectinに対するscFvに対して上記の方法を応用してベクターを作製し、十分なAz-scFvを得られる方法を確立した。得られたAz-scFvまたはscFvとアジド基と結合するDBCOを結合させたTexas-redを混合して電気泳動したところ、Az-csFvの位置に蛍光のシグナルは認められたが、scFvの位置には認められなかったことから導入したアジド基が反応活性を有することを確認した。Az-scFvとDBCO-PEG-DSPEを結合させて得られたscFv-PEG-DSPEを間葉系幹細胞(hMSC)に添加し、さらにFITC標識したE-selectinを添加したところ、細胞膜上に蛍光シグナルが確認できた。さらに、未修飾のMSCにFITC標識E-selectinを添加した場合にはほとんど蛍光シグナルが認められなかった。以上、本年度は、scFv-PEG-DSPEを作製し、これを用いて細胞膜表面に導入されたscFvがE-selectinと結合できることを確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
十分な量の低分子抗体を安定な状態で得るための条件設定に時間がかかったが、モデルの低分子抗体から2年目に実際に使用する低分子抗体へ前倒して変更したため、2年目へ向けての準備は概ね整っている。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目は予定通りにE-selectinに対する低分子抗体を間葉系幹細胞に修飾し、細胞間接着の評価を行う。
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Causes of Carryover |
低分子抗体の精製に時間がかかったため、モデル低分子抗体での細胞間接着の評価の代わりに、抗E-selectin低分子抗体の作製を前倒して行った。そのため、細胞接着の評価に必要な試薬やプラスチック製品、ガラス製品を購入しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
1年目に抗E-selectin低分子抗体の精製・保存法が確立できたため、2年目の細胞接着の評価に充当する。
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