2017 Fiscal Year Research-status Report
CAR-T細胞療法の最適化に資するCARの構造/機能連関解析システムの構築
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16K15160
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡田 直貴 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (90312123)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | キメラ抗原受容体 / 構造/活性相関 / 細胞療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
CAR構成要素のヒンジ領域 (HD) および膜貫通領域 (TMD) の構造改変がCAR-T細胞機能を調節しうる可能性について精査したところ、CARのHD/TMDは膜発現の強度や安定性のみならず、抗原刺激に対するシグナル伝達効率にも寄与していることが示された。すなわち、HDあるいはHD/TMDの改変によってCAR-T細胞の活性化閾値あるいは反応性を調節できる可能性が見出せた。現在、これらHD/TMD改変によるCAR構造-活性相関についてより詳細な情報を収集するべく、各種CAR改変体のT細胞膜上における発現様式や複合体形成に着目した解析を進めている。 また、CD3ζ由来細胞内シグナル伝達領域 (STD) に加えて各種免疫機能分子に由来するSTDを追加したCAR構造改変体 (第二世代CAR) を発現させたCAR-T細胞の機能解析から、CARへの機能付加を狙ったSTDの追加においてはタンデムに結合させるだけでは望みの機能発揮に至らないケースも現れるため、HD/TMDに用いる分子の選択や複数STDの結合順など、細胞内構造を最適化するアプローチが必要であることが示唆された。現在、CARへのSTDの追加挿入とCAR-T細胞の機能変化との連関を明らかにすべく、これら各種第二世代CAR改変体のSTDについてシグナル伝達活性の解析を進めている。 標的抗原へのaffinityが異なるscFvを用いてCAR構造改変体を数種類作製したところ、原因は不明であるがT細胞膜上に発現できなかったり、発現したとしてもscFvでの標的抗原への特異性および親和性が失われたりする現象が認められた。したがって、標的抗原に対するCARのaffinity調節は、特異性・親和性の異なるscFv領域変換のみでは困難であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度に確立したCAR機能解析システムを活用して、各種構造改変CARの発現プロファイルならびに機能発現比較を当初の研究計画に従って遂行できている。
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Strategy for Future Research Activity |
CARの標的抗原に対するaffinityを測定する評価系として、CAR scFv領域とFcとの融合体を作製し、それを用いた表面プラズモン共鳴法を確立する。また、質量分析装置を用いた解析手法により、各種構造改変CARのT細胞膜上における発現様式および複合体形成について明らかにする。さらに担癌マウスモデルを用いた各種構造改変CAR-T細胞の有効性および副作用発現を比較するとともに、CAR構造-活性相関の理論的根拠を強化すべくヒトCAR-T細胞を用いた情報の収集を図る。
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Causes of Carryover |
(理由)実験動物生産業者において納品可能な実験動物 (マウス) の不足により、計画よりも少ない匹数のマウスしか購入できなかったため差額が生じた。
(使用計画)次年度の実験動物購入費に充てる。
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