2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K15162
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
大槻 純男 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 教授 (60323036)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 環状ペプチド / 小腸透過 / Caco2細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、ペプチド製剤やタンパク質製剤等の高分子医薬品の開発が盛んに行われており、現在40種類以上の高分子医薬品が発売されている。しかし、高分子医薬品は消化管内において酵素分解を受け、小腸において吸収されないため、バイオアベイラビリティが低いことが大きな課題である。従って、高分子医薬品の小腸吸収性を向上させる技術として、高分子の小腸透過を可能とするキャリアの開発が必須である。独自に同定したM13ファージの小腸透過を促進する新規環状ペプチドを用い、本研究では、環状ペプチドの小腸透過機構を解明し、小腸透過キャリアの分子基盤を構築することを目的とする。平成28年度は、環状ペプチドを提示するファージが環状ペプチドを介して小腸を透過しているか確認するために、透過に対する合成環状ペプチドの阻害効果を検討した。その結果、Caco2細胞及びマウス小腸closed loop両方においてファージの透過は合成ペプチドによって阻害された。また、蛍光標識環状ペプチドがCaco2細胞内に取り込まれ、その取り込みは非標識合成環状ペプチドによって阻害されることを確認した。また、取り込み機構を検討するために温度依存性とマクロピノサイトーシス阻害剤の影響を検討した。その結果、蛍光標識環状ペプチドのCaco2細胞内への取り込みは4度及びマクロピノサイトーシス阻害剤によって阻害された。また、環状ペプチドを提示したファージのCaco2細胞への取り込みも同様に阻害された。したがって、蛍光標識環状ペプチドの小腸上皮細胞への取り込み過程には、エネルギー依存性の担体が介在し、さらにマクロピノサイトーシスが関わっていることが示唆された。さらに、環状ペプチドのアミノ酸配列の相同性から検索を行ったところ、ある種の微生物のタンパク質が同定され、そのタンパク質を介した透過メカニズムが関与している可能性が提示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画の大部分は順調に進んでいる。新たなメカニズムが提示されたため当初計画のクロスリンクは延期し、阻害剤等の検討を優先させた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画を加速するとともに、新に提示されたメカニズムに対して細胞分子学的手法を用いて解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
メカニズム提示による一部実験の変更によって購入予定消耗品が変更されたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰り越し分については平成29年度の早い時期に消耗品費として使用する計画である。
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Research Products
(6 results)