2017 Fiscal Year Annual Research Report
Construction of a model for intestinal toxicity test using human and monkey iPS cells and search for toxic biomarker
Project/Area Number |
16K15164
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
松永 民秀 名古屋市立大学, 大学院薬学研究科, 教授 (40209581)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ヒトiPS細胞 / カニクイザルiPS細胞 / 腸管上皮細胞 / 腸管オルガノイド / 抗がん剤 / 細胞毒性 / 腸管毒性試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
低分子化合物Xを用いることで、従来法と比べ腸管マーカーや薬物動態関連因子のmRNA発現レベルが顕著に上昇した。また、CYP3A4やUGT等の活性も有意に上昇した。一方、腸管オルガノイドの作製では高分子化合物Yの添加により、従来法と比べCYP3A4やSLC15A1/PEPT1、ABCB1/MDR1等のトランスポーターの発現が上昇した。また、腸管を構成する細胞マーカーのVillin(吸収上皮細胞)、sucrase-isomaltase(上皮細胞の刷子縁)、MUC2(杯細胞)、LGR5(腸管幹細胞)もコントロール群と同程度もしくはそれ以上のmRNA発現を示した。さらに、CYP3A4活性やABCB1/MDR1、ABCG2/BCRPの輸送活性も有意に高い値を示した。これらの結果は、低分子化合物Xや高分子化合物Yは分化誘導において機能の向上に寄与することが示唆された。 腸管オルガノイドは、抗がん剤である5-FUによる濃度依存的な細胞毒性が観察され、そのIC50値がCaco-2細胞と比較して低濃度であったことから、5-FUに対する感受性がCaco-2細胞に比べて高く、毒性評価系として有用だと考えられた。また、5-FUの添加により、腸管幹細胞マーカーのLGR5やCD44、増殖細胞マーカーのKi67、腸管上皮細胞マーカーのvillinのmRNA発現量が低下した。一方、炎症性サイトカインのTNF-αやIL-1β、再生腸上皮幹細胞マーカーのOLFM4のmRNA発現量は増加した。また、間葉系細胞マーカーのvimentinのmRNA発現量が低下した。さらに、5-FUの活性化に関与する酵素オロテートホスホリボシルトランスフェラーゼの阻害剤を添加することによって、これらの遺伝子発現量の変動が抑制された。 以上の結果から、これらの発現変動は細胞毒性マーカーとして有望であることが示唆された。
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